得体30 ページ32
貴「ちょっと、久々に行くかぁ。"僕の死体があるところに"…」
その時の彼の顔は何を表していたのかはわからない。
そして彼は数時間後にギリシャへと着いた。
そして、目の前にあったのたくさんの墓石が並んでいた霊園だった。
その中に特に目立った棺桶が置いてあった。そう、ここは最近の死体が埋められているところではない。古代、否、もっと昔だろうといわれている最近見つかった墓である。
彼はその特に目立った豪華に作られた棺桶への方向へと歩いて行った。
貴「……いま、お前は天国にいるのかな」
そっと、棺桶をなでて愛惜しそうな目でそう言った。
貴「大丈夫だ、君の復讐はちゃんと僕がやるから。だって、約束だもん。ね、
"A"」
そう、彼は本物のAではない。実物のDNAをもととして作られた複製品、レプリカだ。だが、彼が起こした、殺人や、家族と過ごした記憶はちゃんと受け継がれ、同時にそれが自分がやったものだと認識している。
だから、当の本人は大昔に死んでいるのだ。だが、戸籍上では死んでいることになっていても彼のDNAがまだ、彼の体の中に巡っているため、本当の死とは言えない。
貴「知ってた？A僕は、レプリカだけど君の記憶があるとはいえ、一人の人物を生贄にしているんだ。話してあげるよ、これは僕しか知らない話だったんだけど…これで君も共犯だね」
そう言う彼の顔は少し後悔をしているようだった。
大昔
？「君」
A「あなた…だれ？ケホッ」
？「可哀想だなぁア、病気で死んじまうんだろ？なぁ、お前のDNA、来世に残したくないか？」
A「来世に…そんなことできるの？けどごめんなさい。私は嫌です」
？「そうか、それはしょうがないな」
そこで彼女の記憶は消えた。否、死んだ。
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作者名：黒銀 | 作成日時：2022年1月31日 22時
