Hello家出役者【A3】

澄んだ陽の光 ページ40

千景side

千「っと…だから言わんこっちゃない」

帰ってきた時からこいつの様子はおかしくて

こいつの過去を知っている俺は監視役を名乗り出た

こいつとは組織に居た頃会ったことは無かったがよく知っていた

それはオーガストからよくこいつの事を聞いていたからだ

薬品を作るときによく手伝う子であまり笑わないやつだと聞いていた



会ったことが無いと言ったが、一度だけ任務先で見たことがあった

それは日本…奇しくもこのMANKAIカンパニーの公演で

俺の任務は…あいつが裏切り者かどうか調べる事だった

俺はあいつが出る舞台を観て、休憩の間にあいつの部屋に忍び込む…つもりだった

観る前まではその気でいたはずだった

それなのに俺はその公演を見て、あいつの笑顔を見て裏切り者かどうかどうでもよくなった

それほどにあいつの笑顔はなんの汚れもない綺麗なものだった

その後俺は組織に裏切りはなかったと伝えた


千「…シャイン」

オーガストはあいつの事をいつもそう呼んでいた

笑顔が澄んだ陽の光みたいに真っ直ぐだからだと言っていた

あいつが今名乗っている陽澄という苗字もオーガストがつけたものだろう

そんな苗字のくせして今のこいつは涙を零していた

千「…」

俺がAの涙を拭うとAのポケットから指輪が落ちる

みた限りではただの指輪のようだが、どうやら盗聴機能があるらしい

そのことはあの寝太郎に聞いた

俺はその指輪を持ってきたスポーツドリンクに沈めた

すると指輪は火花を散らして…沈んだ

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