プロローグ ページ2
天化「………A?」
A「うん。私はA。貴方のお名前は?」
………俺っちの目の前に、いきなり一人の女の子が現れた。
ーーーここは朝歌の、俺っちの家。
いわゆる、武成王邸ってやつさ。
親父が仕事で家をあけている間、俺っちは一人で剣の修行に励んでいた。
ーーーそんな時さ。
『A』と名乗る女の子が空から降ってきたのは。
………そう。文字通り、空から降ってきたさ。
重力に逆らって、ゆっくりと舞い降りてきたその姿は、さながら仙女のように美しかったさ………。
その子は俺っちと同い年くらいの小さな子供で、眩しすぎるくらいの純白の衣に、柔らかそうな羽衣を纏っている。
そして、なぜか頭に狐を乗せていた。
もう、何もかもが意味不明さ。
A「……ねぇ、お名前は?」
俺っちが黙っていたのが気になったのか、Aは重ねて同じ質問をしてきた。
天化「え?あ、あぁ。……俺っちは、黄天化。武成王、黄飛虎の次男さ。」
A「てん、か、君………。………ねぇ、天化君。私と遊ぼう?」
天化「え?いや………俺っち、今剣の修行中だし………。」
だから無理、と言おうとしたところで、Aがそばに落ちていた長めの太い枝を拾い、中段で構える。
A「じゃあ、私も修行のお手伝いするから!」
そのまま、俺っちに殴りかかるように迫ってきた。
天化「え?……っ、うわっ!」
一瞬のことで、反応が追いつかなかった。
剣を構える暇も与えず、木の枝は俺っちの頭を軽く殴り、足に叩きつけて転ばされた。
A「ね、どう?私と一緒に修行しよっ!」
そう言って、Aはいたずらっ子のようにニカッと笑った。
天化「………面白いさ。今度は、同じようにはいかねぇかんな!」
そう言って、俺っちはお返しとばかりにAに切りかかったーーー。
ーーーその日以来、俺っちはどこからかやって来るこの少女と、毎日のように刃を交えた。
最初は疑っていた親父も聞太子も、Aの人当たりのいい性格を見て、いつの間にか受け入れていた。
俺っちは、Aと一緒にいる時間が楽しかった………。
Aには一度も勝ったことがなくて、昔からの目標である親父と、新しくできた友達のAに勝つことが俺っちの目標になっていたさ。
………でも、俺っちはAに出会ってから最後まで、一回も勝つことはできなかった…………。
そう、ただの一回もーーーーー。
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信乃(プロフ) - 封神演義いいですよね!楊戩とかカッコいいし、天化もいい!更新ファイトデス (2017年5月21日 17時) (レス) id: 7cad6b70e5 (このIDを非表示/違反報告)
風蛍月(プロフ) - 真ちゃんなう!さん» コメありがとうございます! すみません、最近更新するの忘れてました← なるべく頑張ります! (2015年8月12日 15時) (レス) id: 4620f76b51 (このIDを非表示/違反報告)
真ちゃんなう!(プロフ) - この小説好きです!更新頑張ってください!! (2015年8月12日 14時) (レス) id: 883ad8778b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風蛍月 | 作成日時:2014年7月28日 20時