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冬の担当 ページ10

「まだあるんだろう、青緑。」

 ゆっくりと今まで横になっていたベットから身体を起こし、新しい足で地を踏む。
なんだか変な感覚だ、違和感が物凄くある。
青緑の方を見ると、わかるか、と言いながらはにかんでいた。

「全く、クリソコラちんは鋭いな〜。右手、見てみて。」

 言われて、右手へ恐る恐る視線を移す。
包帯が巻かれていたため、それをゆっくりと剥がせば、フォスと同じような手が視界に入った。
自らの惨めさに呆れる、よくこんな状態で強くなりたいと願えたものだ。
純粋すぎて反吐が出てくる。

「棒振った衝撃で割れて月行き。いつかはバレるとわかっててもクリソコラ辛そうだったから今カミングアウトするのはやめとこうと思ってたんだけど…ごめん。」

 青緑を謝らせてしまった。
本当に謝るのは、こっちの方なのに。
 嗚呼。もっと強くならなきゃダメだ、いくらバカバカしくても、無理だとはわかっていても。
それでも皆に不安を与えさせないような、そんな宝石に変わらなければ。

「フォス、冬の仕事を教えろ。」

 固く、右手を握りしめる、
新しく、生きていかなくては。誰にも迷惑をかけないように。
今のままじゃダメだ。もっともっと変われるよう。

「もちろんもちろん、無理はしないようにね。」

 わかっている、と言葉を返して。
冬の担当を任せてもらうために先生の所へ向かい始めた。



________




「先生。」

 先生にそう声をかける。
すると先生は私の方を向き、目を丸くした。

「起きたのか、クリソコラ。良かった。」

 先生の優しさが、苦しく、辛い。
優しさに首を絞められる経験は初めてだ。
こんなにも優しさが辛いなど、今まで全くなかったのに。

「冬の担当をする許可を。」

 先生の視線が、私の右足と右手へと引き寄せられる。
変わった事を意識してしまい、少し息苦しくなったが仕方ないと自分へ言い聞かせては1つ瞬きをした。

「…許可する。武器はフォスフォフィライト、お前が選ぶように。」

 わかりました、と後ろで青緑が返事をする。
別れの挨拶を2人で先生にして。
その後武器を受け取るため青緑の後ろを着いていった。

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作者名: | 作成日時:2018年6月3日 20時

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