いつも通りの日 ページ20
「っべ……! どらくらい寝てた!?」
意識が浮上して、ベットから飛び起きる。
確実に朝は過ぎているだろう、もちろん体感というだけで確実という訳ではないが。
窓から空を覗き、太陽の位置を確認する。
太陽は見事に高く昇っていた。
やらかした、そう確信する。
急いで部屋を飛び出すと、偶然通りかかったらしいジェードに声を掛けられた。
「クリソコラ、冬にフォスと一緒に頑張ったんだろ? ゆっくり寝てていいとの事だぞ。」
全て見透かされているかのような言葉に、返す言葉が見当たらない。
反射的に「あ、ぁ。」と返しては、それじゃあと先を急いでいくジェードに小さく手を振った。
「……パパ。」
小さく呟いた言葉は、誰の耳にも入らず消えていく。
何故呟いたかはよく自分でもわからなかった。
「あら、クリソコラ。今起きたのね。」
ぼーっと空を眺めていると、次はダイヤに声をかけられる。
「全く、もう少し寝てればいいのに。真面目ね。」
いつも通りの優しい笑みを浮かべてダイヤはそう言う。
真面目と言っても、すぐさっき目覚めたし今は何もしていないけどな。
と、心の中で言う。
「はは、褒め言葉として受け取っておく。というかダイヤ、仕事は?」
この時間ならいつもボルツと見回りをしているはずだが周りにボルツの姿はないし、万が一別行動中となっていても学校内にいるのはおかしい。
どちらかが体調でも崩してしまったのだろうか。
「ああ、ボルツがね……」
___
「ふーん、よりによって青緑と組んでるのか。」
確かに、青緑は最近どんどん強くなって変わってきている。
あのボルツが目を付けるのも当たり前だろう。
「ふふ。けど、結構合いそうじゃない?」
「あんまり青緑の戦闘は見てないから、どうも言えないな。」
空へと目線を合わせたまま言う。
というか、合う合わないの問題じゃなく取り残されてしまったダイヤが可哀想だ。
組む当てはあったりするのだろうか。
「ダイヤは、どうするんだ?」
好奇心で聞いてみる。
「私は…そうねぇ、特に決めてないわ。」
まぁ確かに、ダイヤと合うような宝石なんてボルツ以外に思い付かない。
居るは居るかもしれないが、ダイヤとボルツの組み合わせが当たり前という考えになっているのだろう。
「こんな眩しいのに、ボルツも勿体ない事すんなぁ。」
反射的に、そう言っていた。
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作者名:兀 | 作成日時:2018年6月3日 20時