変わっていく ページ14
「…その、ありがとう。青緑。助かった。」
なんだか変な気がして、片手で髪を弄りながら青緑に向けて言う。
青緑がいなければ今頃粉々になっていただろう、それか上半身と下半身真っ二つだ。
想像してみると意外とグロテスクで、すぐにその想像をかき消す。
「どういたしまして。そういえば先生来なかったけど、眠気に耐えられず寝ちゃったのかな。」
そうだろうな、と一言返して、学校に向かって歩いて行く。
「クリソコラ、一々失敗なんて気にしてたら、身体も心も持たないよ。」
後ろにいる青緑からかけられた言葉で、足が止まる。いいや、足だけじゃなく、身体全体が凍り付くように。
完全に、見透かされている。
こんな事前までの青緑じゃきっと出来ないような事だ。
「……変わったな、青緑。」
小さな声で言う。
流氷の下で騒ぐ水達の音が、やけに騒々しく、やけに忌々しい。
嘲笑っているかのような、そんな。
「うん、僕もそう思う。」
返ってきた青緑のその言葉は、寂しいように聞こえて、悲しんでいるようにも聞こえた。
首元のアマゾナイトの感覚が、気持ち悪いほど肌と接着した部分に伝わってくる。
これから、何かが崩壊していくのだろう。
「嫌だな。」
誰にも聞こえぬよう、呟いた。
__
「枕投げしない?」
学校に帰り、適当に廊下でダラダラしていると突然青緑がそんな事を言ってくる。
そういう所は変わらないんだな、と意味もない関心をする。
「断固拒否だ、面倒くさい。」
えー? と青緑が納得出来なさそうな声を出す。
面倒くさい事が始まったぞと、直感的に気づいた。
「じゃあ、私は誰でしょうゲーム。特徴を上げてってその人が誰か当てるっていう…。」
それなら動かなくていいし楽そうだ。
いいぞ、と返事を返せばやったー!と無邪気に青緑が言う。
まずは僕から3問ね、青緑はそう言って問題を出し始めた。
「黒で、戦闘狂で…」
「ボルツ」
髪の色をいえばすぐわかるな、このゲーム。
大体皆の見た目の特徴は髪型と髪の色と目の色、それくらいだ。
「せいかーい、じゃあ次行くね。」
おう、とだけ返す。
「乱暴で、中々口が悪くて、髪が長くて…」
ここで違和感を覚え始める。
これってボルツの事じゃないのか? けれどボルツはさっき出ていたし、2問連続同じというのは流石にないだろう。
「青い髪」
「俺!!!!」
キレ気味にそう言う。
俺はこいつの中でそんなふうに思われてたのか、と青緑に冷たい視線を送った。
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作者名:兀 | 作成日時:2018年6月3日 20時