五十五、祭りの後…�� ページ5
「その前に、お腹の調子は大丈夫ですか。吐き気や痙攣はないように見えますけど」
猫猫のよかったら、下剤調合しますよ、という言葉にぶんぶん頭を振った。
憧れの天上人の前でそれをいうのはなかなかひどい話である。ちょっとした仕返しだろう。
「では、腰掛けて聞いてください」
見た目によらずまめな男の高順は、椅子をひいている。それに、里樹妃は座る。
「玉葉さまのお食事と入れ替わっていたからです。玉葉さまは好き嫌いがないので、ほとんど主上と同じものを召し上がりますから」
それなのに、一品目も二品目も具材が違った。
「鯖とあわびですか。食べられないのは」
妃がこくりと頷く。
後ろで侍女が動揺を見せたのを星藍は見逃さなかった。
「これは食べられない人間にしかわからないものですが、好き嫌い以前の問題なのです。今回は、蕁麻疹程度で済みましたが、時に呼吸困難、心不全を引き起こします。いわば、知っていて与えたなら、毒を盛ったことと同じことです」
毒という言葉に過敏に反応する。
「里樹さまは、場の雰囲気もあって言い出せないことだったでしょうが、非常に危険な行為でございます」
猫猫は、視線をぼんやりと妃と侍女のあいだに定めた。
「ゆめゆめ、忘れないようにしてください」
どちらにというわけでもなく忠告した。
しばらく間をおいて、
「常食の配膳係にもお伝えください」
と言ったが、妃と侍女は頭にはいっていないようだ。
猫猫がお付の侍女に、詳しく危険性を説明し、もしもの場合の対処方法を書にしたためて渡した。
侍女は青白い顔のまま、小刻みに首を振っていた。
侍女は毒見の女だった。
(嫌なものって、これのことか)
猫猫が話したことは知っていたため、特に気にすることなくぼーっとしていた星藍であった。
里樹妃が退出したあと、後方からねっとりとした空気と、猫猫の肩に触れている手に気が付いた。
猫猫は干からびた蚯蚓を見るほうがましだという冷めた目をしている。
「下賤のものゆえ、お手を触れないでくださりますか」
(べたべたするな、この野郎って意味だな)
長い付き合いの星藍にはよくわかった。
「そんなこと言うのはおまえくらいだぞ」
「では、皆、気を使ってるのですね」
高順は「頼む、耐えてくれ」と目で訴えていた。
「では、玉葉さまのもとに報告にいきますので」
「なんで、わざわざ毒見の侍女を同室させたんだ？」
いきなり核心をついてくる、だからやりにくい。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか？ (12月14日 0時) (
レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
途時(プロフ) - 20051207reiさん» オチはまだ決まっていません。これから決めていこうと思っています。決まり次第お知らせしますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年11月7日 19時) (レス) id: 72a10d6769 (このIDを非表示/違反報告)
20051207rei(プロフ) - この話はジン氏×猫猫ですか? それとも星藍でしょうか？教えてくれたら嬉しいです（*｀・ω・*）ゞ (2020年11月7日 3時) (レス) id: 0443befe15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：途時 | 作成日時：2020年11月5日 8時
