あの日、あの場所で (ページ10)

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探してもページ10

屋上であの先輩を見かけてから1週間、

俺はいつもは行かへん食堂に行ってみたり

授業の合間に意味もなく教室の外を出て歩いてみたりしたけど

何故かあの人には会えへんくて。

「どこにおんねん」

ため息ばかりの毎日やった

「みっちーみっちーみっちー！1円玉一枚作るのに材料費2円かかるらしいで！！」

相変わらず長尾は授業中でもお構いなしで

「何言ってんねん」

「雑学や、言いたいねん！！最近、みっちー元気ないしさ、誰か探してるみたいだったから」

長尾、気付いてたんか

「誰探してんの？」

俺は屋上であった、あの人のことを

初めて人に話した

「へ～、ほんじゃみっちー、その先輩のことが好きなんや」

好き、なんて意識してたわけやなくて。

ただ気になるから

何してるんかな、とか

名前なんやろ、とか

また泣いてないかな、とか

限りなく好きに近くなっていたのは自分でも感じていた

ただ、長尾に言われるとなんだか恥ずかしくて

「そんなんちゃう！！」

思いがけず大きな声を出してしまった

『道枝、授業中やぞ！長尾、道枝、放課後職員室に集合や。』

うわぁ、まじかよ

大橋先生に怒られているというのに、長尾は楽しそうに笑っていた