失恋 ページ1
放課後の誰も使ってないであろう屋上へと目指して階段を駆け上がる
息をつく暇もなく勢いよくドアを開け、フェンスに手をかける
部活に入ってないからか二階から駆け上がってきただけなのに息が上がる
あがった息を落ち着かせて、ふと上を見上げればオレンジの夕日が私を照らす
それが今の自分の感情とは真反対で、眩しくて、苦しくて、
「ずっと、好きだったのになぁ…」
ぽつんと吐き出した私の言葉は、6月になったばかりの夏の風に流されていった
幼馴染の恭平から彼女ができたと報告を受けたのは、ついさっきのことだった
「今日なぁ、お前にビックニュースがあんねん」
「なんや、えらい嬉しそうに」
「彼女、できてん！！」
え、彼女？
思っていた答えと違う回答に、胸が疼く
こういう時、幼馴染として正解の言葉は？
焦る気持ちと、
そんな素振り、一個も見せんかったのに
そんな話、一回も聞いた事ないのに
驚きと、ショックで今すぐに恭平の前から逃げ出したかった
「そうなん？よかったなぁ」
私ができたことといえば微塵も思ってもないそんな台詞を言うことと、
「なんか、今日お母さんからおつかい頼まれたから、先帰るわ！ごめん！」
え、ちょ、おい！と後ろから聞こえる焦ったような恭平の声を背に、溢れ出しそうな涙と嫌な感情から逃げることだけだった
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作者名：蛍 | 作成日時：2020年4月13日 15時
