Hot Coffee_ 《紫》 (ページ5)

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私がここで働き始めたのは3年くらい前。

高校卒業したら絶対家を出るって決めていた私は
勢いでド田舎から大阪に出てきたは良いものの
住むところしか決まってなくて、
仕事探しに明け暮れる日々。

『また落ちた… 』

履歴書を書いて、面接を受けては落ちるの繰り返し。
自分でも、もう何個落ちたか分からなくなっていた。

真昼間なのに暗闇を歩いているような気がして、
目に涙を貯めて歩いていると、ふと目に留まるカフェ。

『なんかいい感じ… 』

お金もないのに、何故か吸い込まれるようにお店に
入っていく。

それからなんだかんだあって

" お姉さん、ここで働いてみない？ "

なんて、キャバクラのキャッチの人みたいな誘い文句で
誘う店長がなんだか面白くて、二つ返事で承諾。

それから暫くして風雅くんも加わって、今の3人に
なった。

風「どうしたんぼーっとして」

コテッと首を傾げる風雅くんが不覚にも可愛いなと
思ってしまうけど、口にしたら彼はきっと怒るから
そっと飲み込んだ。

『ううん、私もう3年もここで働いてるんだなって』

丸「え、もうそんななる！？」

『時の流れって早いものですね』

丸「俺もおじさんになるわけやな」

『店長まだまだ若いじゃないですか』

丸「え、ほんまにっ！？」

目をキラキラさせてる店長。精神年齢はまだまだ
ピチピチやなと、笑みがこぼれる。

その横で苦笑いを浮かべる風雅くんの方が少し
大人に見える気もしなくもない。

一通り店の掃除やら明日の下準備やらを終えると

丸「 Aちゃんも風雅も雨強なってくる前に
帰りや」

と、店長が声をかけてくれたのでお言葉に甘えて
2人で外に出た。

まだ雨はパラパラ程度。
私は店に常備してある自分の傘をさして、
風雅くんは自転車なのでカッパを着て。

じゃ、また明日、とそれぞれの帰路についた。

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