手紙3 ページ3
塔子さん達には名取さんから上手く説明してくれて、訪れた東北。
場所は遠くも日帰りなので、飛行機で行くことになった。
降り立った宮城の空気は、少しひんやりとしている。
夏目「どこにいるとか知ってるんですか?」
名取「いいや。だけど、恐らく彼は今『部活』でもしてるんじゃないかな?」
夏目「……え、部活?」
思えば名取さんは『少年』だと言っていた。
夏目「……あの、その人って何歳なんですか?」
名取「君と同い年だよ。地元の高校に通う高校二年生で、部活はバレーボールをしているらしい。」
名取さんはそれなりにすでにリサーチを済ましているらしく、詳しい情報が返ってくる。
名取「……だけど流石に高校に行くのは目立つからね。彼が毎日通っている森の方で待つとしようか。」
夏目「森?」
名取「……彼はあまり家に帰りたがらないようだからね。いつも夜遅くまで妖たちと過ごしているみたいだよ。」
家に帰りたがらない。
それは、まるでレイコさんや、かつての俺の姿と重なって思えた。
名取「彼の家庭は両親が共働きらしくてね。ほとんど顔も合わせたことがないらしい。」
夏目「……実の親子なのにですか?」
名取「あまり子供が欲しくなかったらしいからね。仕事を理由に家に帰ってこないみたいだよ。」
名取さんの言葉に、俺は言葉を失った。
俺が疎まれていたのは、『視える』からだった。
なのに、彼は『視える』『視えない』ではなく、存在自体を実の両親に疎まれて育ってきたのだろうか。
それは、一体どれほどの孤独なのだろうか。
腕の中のニャンコ先生をぎゅっと抱きしめる。
名取「……夏目?」
立ち止まってしまった俺にどうしたんだい?と声をかける名取さん。
夏目「……彼が手紙を届けたい人は誰なんでしょうか。」
名取さんの話を聞けば、その宛先が両親でないことはわかる。そもそもその両親は死者ではない。
小さな頃から家庭内で孤独を感じていた彼が、亡くしてしまった大切な人とは一体誰なのだろうか。
名取「……山内事件を知っているかい?」
ふいに名取さんがそう切り出した。
聞いたことはある気がするが、あまりピンと来ずに首をかしげた俺に、名取さんは「知らなくても無理はないか」と一呼吸おいてから、詳細を話し始めた。
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星屑(プロフ) - 花楓さん» コメントありがとうございます!風邪をひくので服きてください!!3月の頭には更新できるように頑張ります!!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
花楓(プロフ) - 続きを全裸待機してます!!!!! (2019年2月16日 14時) (レス) id: b8400c6b71 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - ノルンさん» 先月は少しバタバタしていて全然更新できなかったので今月は少しでも多く更新していけたらな、と思っています。 (2018年11月4日 13時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - わーい! 有難うございます!お待ちしております(`・ω・´)ゞ (2018年10月30日 22時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - ノルンさん» こちらにもコメントくださりありがとうございます!来月……来月中にはきっと更新しますのでしばしお待ちください!! (2018年10月30日 21時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星屑 | 作成日時:2018年4月28日 10時