女王77 ページ29
菅原孝支side
昨日俺を助けてくれた女の子、Aちゃんが第2体育館の隅にいる。
それだけでなんか部活全体がちょっと浮かれた感じになっていた。
何か訳ありみたいだけれど、黙ってじっとこちらを見ているAちゃんは精密に作られた人形のようで、ただひたすらに綺麗だと思った。
不意にそんなAちゃんと目が合う。
ぺこっと会釈する姿は年相応なのに、それに伴っていないその雰囲気がまさに『女王』、という感じだ。
菅原(……それにしても、大地は今日だけって言ってたけど、部活に入部する気はないのかな……)
月島に聞いても、上手くはぐらかされてしまい、何か困っているらしい、という曖昧な情報しか手元にない。
菅原(……んー、でも困ってるなら、助けてあげたいしなぁ……)
昨日、俺を助けてくれた彼女の力になりたい。
そんな思いから、部活終わりにAちゃんに話しかけていた。
菅原「Aちゃん。」
と、呼びかけると、何故かこちらを見たまま、少し固まった様子のAちゃん。
菅原(あ、いくら先輩といえど名前呼びは流石に馴れ馴れしすぎた！？)
すぐに訂正しようとした時、
A「……初めから名前で呼んでくれた……」
と、俺の予想とは反して、嬉しそうに笑ったAちゃんに俺の心臓が変な音を立てた気がした。
菅原(な、な、なんだべ！？この可愛い生き物は！？)
あれだけ凛とした雰囲気と女王としての威厳を持ちながらのこのふんわりとした笑顔！
思わぬギャップと人形のように動かなかった表情が動いたことにより、俺の心臓がめちゃくちゃバクバク鳴っている。
後ろから田中が「スガさん！月島と山口がもうこの世に悔いはないみたいな顔しながら倒れたんすけど！？」と言っているが今はAちゃんと話したいから無視を決め込んだ。すまん、田中。悪気はないべ。
菅原「え、そ、そんな珍しい？」
A「……皆女王って呼ぶから……」
菅原「あ、そう言えば……」
そう言われて思い返せば、いつも一緒にいる月島達以外は『汝汪さん』とすら呼ばない。
あの高野さんですら、女王様と呼んで決して本名を言おうとはしなかった。
もしかしたら皆Aちゃんの事を敬いすぎて、本名を呼ぶのすら畏れ多いのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 633人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星屑(プロフ) - おしるこぉさん» コメントありがとうございます！そうです、彼こそがシスコンを極めた勘違い体質の兄です(キリッ) (2019年2月27日 22時) (
レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - 優人さん…………シスコンじゃねぇかｯｯｯ(真顔) (2019年1月24日 19時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - ☆AZUSA☆さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたなら書き手としても嬉しい限りです。これからもどんどん勘違いが加速していきます(笑) (2018年11月24日 11時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
☆AZUSA☆(プロフ) - 初コメです！兄妹のやり取りがア○ジャッシュみたいで面白いです笑 (2018年11月7日 20時) (レス) id: a8b54384e2 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 後ろのメリーさんさん» 応援の言葉ありがとうございます！毎日待ち遠しく思ってくださるなんて……！書き手としてはこの上なく嬉しいです！たくさん更新できるように頑張ります！ (2018年9月29日 21時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星屑 | 作成日時：2018年3月27日 20時
