女王65 ページ17
優人「お前こんな時間まで男遊びをしてるのか！」
A「……なんの話。ただの友達」
玄関先でとんでもない事を言い出した兄に訂正を加えるも兄はそれを聞き入れた様子もなく、憎々しげにこちらを見ている。
何故、兄にここまで嫌われているのかは分かっている。
私が優秀じゃないからだ。
両親の期待にも答えられず、フラフラと遊んでばかりの私。
それはひどく優秀な兄からしてみれば身内の恥なのだろう。
「あら、優人？どうしたのよ……あら、いたの。」
A「……母さん」
母「あんたの飯はないわよ。いつも帰ってこないあんたが悪いんだからね。あぁあ、嫌なもの見ちゃったわねぇ〜せっかく優人が帰ってきたってのに」
A「……」
兄さんの大声に顔を覗かせた母親はそれだけ言って、リビングへと戻って行った。
しかし、兄は未だにそこに仁王立ちしている。
優人「……いつも帰ってこないってどういうことだ」
A「……」
母親の言葉に過敏に反応した兄は突然肩を掴んで揺らしてきた。
優人「今のままだとろくな大人になれないだろうが！」
A「……痛い」
ぐわんぐわん揺れる頭も強く掴まれる肩も、痛い。
ただ、痛い。
話を聞く気も、する気もなくて、ただ痛いと、それだけを言葉にした。
優人「……っ！」
一瞬、兄が酷く傷ついたような顔をしたのは気のせいだろうか。
A「……兄さん？」
優人「……呼ぶな。俺は、お前の兄だと思ってはいない」
A「……」
え、そこまで私嫌われてたの？と、密かにショックを受けつつも、そう、とだけ答えて兄の手が緩んだのをいいことに脇を通り抜け、自分の部屋へと向かった。
A「……わぁお」
思わず声をこぼす。
一応、4日前にも帰ってきているのだが、私物という私物がすでに捨てられていた。
元々そこまで置いてなかったので別に構わないのだが、寝具類まで捨てられているとは思わなかった。
A(……これは、もう帰ってくるなってことでいいのかな？)
別にその方が気楽なのだからいいのだけれど。
でも、やっぱり
A(……寂しい)
別に虐待とかではない。
本当にそうなのだが、単に私は両親の期待に答えることができない、出来損ないで、ずっと放置されてきただけなのだ。
……あの人たちには血の繋がりという最低限の愛も存在しない。
そう、あの人たちには。
A(……自分だけすがって、馬鹿みたい)
私だけ、ただ律儀にその血の繋がりという最低限の愛に縋って、ずるずるとこの家に居座り続けたんだ。
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星屑(プロフ) - おしるこぉさん» コメントありがとうございます！そうです、彼こそがシスコンを極めた勘違い体質の兄です(キリッ) (2019年2月27日 22時) (
レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - 優人さん…………シスコンじゃねぇかｯｯｯ(真顔) (2019年1月24日 19時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - ☆AZUSA☆さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたなら書き手としても嬉しい限りです。これからもどんどん勘違いが加速していきます(笑) (2018年11月24日 11時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
☆AZUSA☆(プロフ) - 初コメです！兄妹のやり取りがア○ジャッシュみたいで面白いです笑 (2018年11月7日 20時) (レス) id: a8b54384e2 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 後ろのメリーさんさん» 応援の言葉ありがとうございます！毎日待ち遠しく思ってくださるなんて……！書き手としてはこの上なく嬉しいです！たくさん更新できるように頑張ります！ (2018年9月29日 21時) (レス) id: 64e74c6b8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星屑 | 作成日時：2018年3月27日 20時
