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第105話 読み書き ページ9

貴) …全然綺麗にならないわね…。

読み書きを教えてください。と言われたので、ギン紙と筆を渡してから硯の使い方から平仮名と漢字を練習させたり、短い文を書かせてみたりと、少しずつ練習させていったのだが…文も書けるし、文字も読めるようになった。それなのに…何故か文字が赤子が落書きしたような文字になってしまうのだ。

ギン) な、何か…コツとかありますか?

貴) 無いよ!強いて言えるなら練習あるのみ‼︎
それだけ!

ギン) え〜…。無いんですか。

貴) でも、何で読み書きを教えて欲しい訳?

ギン) えっ、あ、えーっと…ですね…。

貴) 何?好きな子でも出来たから、その子に手紙を送りたいわけ?

そう言うと、顔を真っ赤にしてまだ乾いていない紙で顔を覆ってしまい、赤に黒い斑点が付いたような可笑しい顔になっていたので、思わず笑ってしまった。そうかそうか、ギンもそんな年頃か…と母親のような気持ちになった。




貴) …下手ね。でも、最初よりは上手くなってるじゃない。

他の人から見れば、何処か異国の文字にしか見えないだろう。文字のバランスがバラバラだし、墨汁が垂れてシミになってしまってるし、まだまだなんだな、と読んでいて思っていた。文ではなく、たった10文字を並べた言葉。

「幸せになって下さいね」

慶喜) 直弼に内緒で彼に会ったんだ。
何かやり残した事ない?って聞いたら、手紙を書かせて欲しいって…。
ねぇ、A。彼の願いを叶えてあげてよ。
今からでも遅くないよ!

でも、アタシは好きな人を傷つけたの。守ろう守ろうとして、自分が傷つけた。馬鹿だよ。もう、あの人はアタシを見てくれない。
そう考えていると、体が震え始めた。

慶喜) 大丈夫だよ。行って、謝って…それでダメだったら、またおいでよ。

え…?じゃあ、私は…。

慶喜) 今日をもって、司馬Aを解雇する。
もう、八戸Aとして生きていいんだよ。

そう言って慶喜は笑う。アタシはお礼をいってから、慶喜の部屋から飛び出した。





慶喜) …ごめんね。直弼。君の役に立てなかった。

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東雲大我(プロフ) - えっすん@厨ニ病さん» 最後までお付き合いいただきありがとうございます。な、泣きながらですか?!おお…そこまで感動作になるとは…。感動作(?)のつもりではなく、もう前作より悲しい作品書いてやろうって勢いが伝わって良かったです。文才無いのでヒヤヒヤしました(^^;; (2015年3月2日 4時) (レス) id: 8306ee9666 (このIDを非表示/違反報告)
えっすん@厨ニ病(プロフ) - お疲れさまでした!あいつら…面白ェ…のときから読んでます!最後の方は泣きながら読みました。次回も楽しみにしてます!本当にお疲れさまでした! (2015年3月1日 23時) (レス) id: a3394dd02e (このIDを非表示/違反報告)
東雲大我(プロフ) - ミルキィさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございます。実はギンの容姿を載せようと考えております。イメージと違うな…とご期待に添えないかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。 (2015年2月26日 1時) (レス) id: 8306ee9666 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキィ - この作品最高です!もうギンの立場とか涙がとまらなくて幸せになれて良かったです!お疲れ様でした! (2015年2月26日 0時) (レス) id: d1d8fb6e9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲大我 | 作成日時:2015年2月10日 7時

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