役人志士(ヤクニンロッカー)3

第97話 守ります ページ1

(時は流れ、勝海舟に出会い、役人時代のAの話を聞いた後に……
龍馬と高杉が桂たちの前から姿を消してしまいます。そして、大江戸ヘブンフェスティバルに忍び込む為に江戸へ向かう前夜の話…。)

伸ばした手を握ったふりをして、分かっているのに何かを掴んだかのようにゆっくり開きましたが、やはり、何もありませんでした。

桂) …ッ！

爪の痕がまだくっきりと残っていました。Aさんの震えた手でつけられたその傷は、どうやら深くつけられたようで、簡単には消えそうにないようです。

沖田) 姉さんの事、考えてるの？

桂) ええ…今、どこにいるのでしょうね。

後ろから現れた沖田くんに少し驚いたのですが、すぐに笑顔を見せました。ですが、沖田くんは浮かないような顔をして隣に座りました。

沖田) 渡さないよ、姉さんは。絶対に。

桂) …⁉︎

また、恋敵が増えました。

沖田) 彼がいなくなってから、姉さんは僕が守るって決めたんだ。(姉さんの暗殺命令の時は…アレだったけど。)
彼は、姉さんの事を守りたかったから、姉さんの身代わりになって、姉さんのフリして……

彼とは、おそらくギンくんの事でしょう。
その事は本人(幽霊)からも聞いていたので知っていました。

沖田) バカだよね、守りたいならちゃんと最後まで守ればいいのに…。

桂) 彼なりに守ったのではないのでしょうか。

ギンくんは、本当にAさんの事を大切にしていました。強そうに見えて実は弱いAさんを守って……。

沖田) 近藤さんがいたら…彼の事を叱ってるだろうね。

そこまで言うと、明日は早いからと言って部屋へと戻っていきました。





桂) 早く見つけて、返事を聞かなくては…！

勝先生曰く、Aさんも井伊と共に江戸へ向かったようです。幕府を倒した後にAさんを連れ戻して、まだ返事は聞いていませんが…思い切り抱きしめたいです。

桂) ギンくんの代わりに、私が貴女を守ります

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