幼馴染は…【草津錦史郎】Part3

#123 気の使いすぎ ページ25

有馬) 適当にくつろいでくれ。

彼の部屋に案内されると、私を一人にしてさっさと紅茶を淹れに部屋を後にする。まあ、私はくつろげと言われても、くつろげない奴だから部屋をウロチョロと歩き回る。落ち着きがないって事じゃないよ？遠慮しすぎてるだけだよ……。
そんなふうに言い訳しながらウロチョロしていると、カタンと小さい音が聞こえた。どうやら机の上にあった写真立てのようなものが倒れたようだ。

貴) あ…倒しちゃった。

直そうとして、その小物に手を触れ、それを見る。それがやっと写真立てだと確信したのは燻くんと思しき少年と、見覚えのある少年2人と、どこか懐かしい小さな女の子。楽しそうに二本の指を立ててカメラに向かって、それを突き出す。

貴) これ、何処かで……。

んー……と方程式や今後の予定などで埋まった脳みそをフル回転させて思い出そうとしていると外から足音が聞こえた。

有馬) おまたせ。クッキーがあったんだけど、食べる？

ノック3回して、ドアを開けた彼は微笑みながらそう尋ねた。クッキーから放たれるバターの香りに、ふわりと鼻をくすぐる紅茶の香りに考えていたことを忘れて、席についた。

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