幼馴染は…【草津錦史郎】Part3

#120 幼馴染みでも ページ22

正直なところ、俺のお節介が彼女を苦しめた。おまけに酸素を求めて息をする回数を増やしていた為に浅い呼吸を何度も繰り返した。そして、限界が訪れて俺の体に寄りかかるようにして眠った。何度も彼女の名前を呼んでも彼女は目を開けずにただ、唸り声を上げるだけだった。

鬼怒川)保健室に運んでくるね。

エンちゃんに手伝って貰いながら、Aを背負う。軽くて少し不安になるほどだった。ちゃんと食べているかとか…そう言う些細なこと。付き添いでエンちゃんも付いてきてくれていた。交代する？とか、段差気をつけろよとか、気を使ってくれた。

保健室に着くと、不在中の先生。タイミングがある意味いい方だ。ベッドを借りてそこにAを寝かして布団をかぶせる。近くにあった椅子に二人で腰掛けてため息をつく。

由布院) そんなに重かった？

鬼怒川)いや、その逆。軽すぎて心配するくらい。

由布院) ああ、それ分かるわ。俺らの手で簡単にへし折れそうな体だよな。

鬼怒川)そうだね。だから、心も脆くなりやすいのかな……。幼馴染みでも、知らないんだ。大人になった彼女の考えはさ……

そんなもんか……となにか期待をしていたように言い残してから、俺達はその場を離れ、部室へ戻った。

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