幼馴染は…【草津錦史郎】Part3

#111 【犠牲】グロ表現アリ ページ13

次の朝、短刀の持ち主が自ら僕の元へと現れた。それは、昨日頼み事をした男だった。

「どちらさんで？」

「昨日頼み事をした、雛栗(ヒナクリ)ですよ」

僕と同じくらいの歳だというのに、彼は丁寧に敬語を使って、まるで何かを頼むように見えた。

「ああ、雛栗さんでしたか。今日はどう言った頼み事で？」

そう言ってキセルに火をつけ煙を吐く。
私の家は狭いものですから、煙はすぐ僕を包んでまた吸ったでしょう？と近所の婆さんに言われるのです。

「おや、キセルですか？」

「こうすると、女が寄ってくるんですよ。色っぽいねって。おっと、話が逸れましたね。」

そうですか……と明らかに何かを隠している彼に私は昨晩の話をいたしました。

「昨晩、面白いものを見ましてね。女が短刀を左胸に刺して死んでいたんですよ。蘭学には詳しくないのですが、左胸に我々が生きていくための大事な臓器があるんですよ。確か名前は……」

そこまで私が話すと、その人は青ざめた顔をして土下座をしました。小さく呟くような声で誰かに謝っていましたが、僕は話の途中なのに。と少し不快でした。

「その女を刺したのは私なんです。」

「ええ、知っています。短刀に名前が彫ってありましたから。」

「お願いです！私の代わりに捕まって下さい！」

「ええ、いいですよ。」

そう言って立ち上がると、女の死体が転がっている場所にいる人達の後ろから彼のものである短刀を振り回しながら「女を殺めたのは僕だ」と騒ぐと、すぐに取り押さえられ、しばらく歩いてから牢屋にぶち込まれました。

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