【ｄ！】保健室登校のあの子【男主】

2話 ページ3

『おはよーしんぺい先生』


「お、今日は早起きやん。」

おはよ、と優しく返すこの人は、僕の数少ない信頼している人である。

ただの保健室の先生なのに、スクールカウンセラーみたいに当時一段と病んでいた僕の話をたくさん聞いて寄り添ってくれた、尊敬する先生だ。

本人の前では恥ずかしくて言えないけど、感謝諸々は行動で示してるつもり。


『………うん、早くおきれたで』

甘えだとも言わず、呆れることも無く心から僕と向き合ってくれる彼を目の前に、口元を緩ませる。



「今日は何飲む？」

『いや、ほんとにしんぺい先生の私物でも悪いから…』

「朝は固形じゃなくていいから、口に何か入れといたほうがいいで。
　
　それとも掘られたい？」

『……アイスココアで』


教師らしかぬ冗談(ではない)も聞かなかったことにする



奥の席に荷物を置き教科書を取り出す。
朝は頭が働くというし、特に数学は動けるうちにやっておきたい。


少し恨めしく思っていた快晴のおかげか、気分も幾分かスッキリしていた。


しんぺい先生の鼻歌と、体育でもやっているのだろう微かに外から聞こえる音をBGMに、ココアの入ったカップをお供にして、黙々と取り掛かった。

3話→←1話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す