58話(最終回) ページ8
数十分後。
「…んあ？」
目を覚ますと、そこは控室らしき天井。ついでに痛覚も蘇る。
「いッつううぅっ！？」
激痛に悶えるも、さらに身体を動かしてしまいそれが更なる苦痛に繋がってしまう。あまりの痛みに、涙さえも出そうになってしまった。
「痛そうだね」
「おめっ、誰…って、作者！？」
久しぶりの登場。てか覚えてる人いないだろ。
「今更だけど、その呼び方はちょっとメタかったね」
「本当に今更じゃねえか…んで、何の用だ？」
作者は少しの間を置き、少し明るそうに、
「いや、よくやった、とだけ」
と。
「…は？」
「お前は自分の中のソウルを覚醒させ、そして消費したんだ」
「言ってる意味が分からねえよ…覚醒？消費？何？」
「とりあえず今、ソウルを出してみな」
「まあ、いいけど………ん？」
なんだ？ソウルの力が感じられない。
…いつもの感覚なら、ソウルは出せた筈だが…試合中じゃないからか？
「お前は、ソウルを使い果たした。ただそれだけのこと」
「…ソウルはもう使えないってことか」
ぶっちゃけ、地球に戻った後でも使ってやろうかと思ってたんだがな…少し残念だった。
「そういうこと。まあ、別になくても困るものではないし、むしろあったら困るものだけどな…おっと、こちらもやっと同期されるようだ」
作者の身体から、龍のオーラが出てきた。それは煙と化し、パッと消え失せた。
「そろそろ真実を伝えるべきかな」
作者はそう呟くと、ズボンを捲り上げた。何故か、この先の俺に縁がありそうなものが。
「…義足。もしかして、お前は」
「おっと、そうこうしているうちにもうすぐで時間か。チームメイトを祝福する準備はしとけよ」
そう早口で言い放ち、ドアを開けようとしたその時。作者は俺の方へ振り向いた。
「本当に、ありがとう。お前のお陰で、俺は、お前は助かる」
頭を深く下げ、そしてすぐに上げた。その勢いのままに作者は控室を出て行った。
「…まさか。いや…ありうる、てかそうとしか思えない」
あの作者は、未来の俺だ。何の目的かは知らないが、俺は俺によってこの宇宙の大会に出場させられた、ということらしい。
…はぁ、もうええ。この変に長かった旅も、もうすぐで終わる。今更突っ込んだところで、だ。
サッカーで心残りだった事を解消できたし、そういう意味では助かったようだ。
ありがとう、おそらく未来の俺。さて、勝利を祝う心の準備でもするか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無 | 作成日時：2022年1月17日 22時
