41話 ページ41
………と思っていた。
まだ最後の笛は鳴らない。まだ試合は終わっていないのだ。急いでボールをセンターサークルに戻すファラム・ディーテ。
「行くぞ、アースイレブン！この試合、勝つのは俺達だ！」
「ちょっと俺、交代いいっすか？」
ファラムの選手に睨まれる。そりゃそうか、試合終了間際の交代なんて時間稼ぎだと思われる。ちょっとタイミングが悪かったが、俺の腹がもたない。許して。
「すまねえ、市川…。最後、失点しないように、頼むわ」
「こんな試合終了直前に交代とは…まあ、構いませんが」
市川と俺が入れ替わり、試合再開の笛。
キックオフからの剣城のドリブル。
「おおっ！」
鋭く、かつ強引なドリブル。一気にDF陣まで到達した剣城。
「皆帆くん！」
「うん！…ってうわぁっ！？」
剣城のソウルを使ったシュート。狼に変身し、回転してゴールに襲いかかる。皆帆と真名部はシュートを止められず、弾かれてしまう。
「させるかぁっ！」
井吹もソウルも使って応戦。マンモスに姿を変え、シュートを踏み潰すが、力で押し負けているようだ。
「ぐうぅぅっ！」
マンモスの身体から、井吹の声が聞こえる。ボールを食い止めるため、もう片方の足を使ってシュートを抑え込んでいる。
「ぅうおおあっ！」
……ボールと井吹の手の拮抗が終わったようだ。その激突のうるさい音がやっと鎮まり、青い光は輝きを失う。
シュートは、ゴールを破る事はなかった。ボールはキーパーの掌に包まれている。
そしてようやく、試合終了の笛。緊張が肩の力と一緒に抜け、安堵の息を吐く。
ファラムの選手が膝を折っているのが見える。そうか。この星も…
だが、他の星の事なんて考えている余裕なんて、少なくとも俺にはなかった。これで、地球の運命をかけた戦いは終わった。
なんだか真っ青な空を見上げてみる。ブラックホールを見つけたが、驚く力すら残っていなかった。
試合前に松風と一緒に和気藹々としていた女の演説が始まった。コズミックプラズマなんちゃらだのライフエナジーだの、なんかよく分からん話を始めてきやがった。全く何も頭に入ってこない。
突然、スタジアムから何かジェットコースターみたいな台が出てきた。これには皆驚いているようだ。なんか俺はこれにすら驚かなくなっていたが。感覚が狂っている。
多分俺達が地球に帰る用のレールだろ、そう思いながら背中をベンチに預ける。
「そこまでだ」
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名無(プロフ) - 星猫さん» 初めまして！お褒めの言葉と高評価、ありがとうございますっ！ (2021年9月8日 19時) (
レス) id: 91adb283d3 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月8日 18時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無 | 作成日時：2020年2月18日 20時
