33話 ページ33
剣城は、黙っている。呆れたように目を閉じた。
「何とか言えよ、剣城っ…！」
「くどいぞ天馬！」
剣城がいつになく強い口調で松風に返す。
「俺は自分の意志でファラム・オービアスについた。理解しろ」
「剣城…」
落胆する松風を睨み、剣城は自分のチームのベンチへ行ってしまった。マジでなんなのあいつ。
「天馬！しっかりしろ！」
神童が後ろから言う。びっくりした。
「今はこの状況を受け入れるしかない。違うか？剣城と黒岩監督が俺達を倒すというのなら、全力で立ち向かうのみだ！」
「神童さん…」
よく言った。マジでここで喝を入れてくれなければキャプテン終わってた。
「お前達も、今は試合に集中するんだ。いいな」
…危ねえ、今回は寝てないな。
ベンチでフォーメーション決めを終えた後、選手はフィールドに散っていった。
決勝。スタメン。FW。
この3つの単語が、俺の意識を埋め尽くしている。さっきまでの軽さは一体なんだったのか。
試合開始のホイッスルの前、俺は剣城に目をやった。俺ではなく、松風の方を向いている。振り向くと、松風も同じく剣城を見つめている。恋人同士かお前らは。
静寂なグラウンドに、決戦の始まりを伝える笛が鳴り響いた。
キックオフと同時に剣城が俺に強烈なタックル。俺からボールを奪い取ると同時に、猛スピードで俺達のゴールへ走り出した。
「チッ！」
瞬木が舌打ちをすると同時に、剣城を止めるべくショルダーチャージ。しかし剣城はこれを物ともしない。逆に瞬木を跳ね返した。
「剣城！本当に地球が…宇宙がどうなってもいいのか！？」
「生き残るのは、俺達ファラム・オービアスだ！」
剣城は更なる加速を得て、松風を抜き去った。
「アインザッツ…ッ！？」
神童の必殺技が決まったが、そう見えただけだった。ボールは、まだ剣城の足元にある。
「ディフェンス方」
「遅いッ！」
真名部の必殺技を強引なドリブルで打ち破る。
皆帆は…どうやらあのスピードは真似できなかったようだ。
剣城と井吹の1対1。頼む、止めてくれっ…！
「デビル、バーストッ！でえええりゃあっ！」
その叫び声は変わらないのな。
炎を纏った蒼黒の弾丸が井吹に撃ち放たれる。
「させるかっ！」
青白いオーラを手に高く飛び上がった。
「ゲキリンダンクッ！」
そのオーラは龍と化し、シュートへ食らいついた。
しかし、無慈悲にもボールは井吹ごとゴールネットを貫いた。
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名無(プロフ) - 星猫さん» 初めまして！お褒めの言葉と高評価、ありがとうございますっ！ (2021年9月8日 19時) (
レス) id: 91adb283d3 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年9月8日 18時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無 | 作成日時：2020年2月18日 20時
