story-029 ページ31
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低い、耳に詰まるような風の音。
そんな音が、今は心地よい。
トクトクと自分の心臓の音が聞こえる。
(私、生きてるんだ…)
だんだんと意識が戻ってくる。
誰かにそっと優しく
頭を撫でられている感覚。
ふわりと香る
この落ち着く匂いは。
「…うらた、さん…？」
目をそっと開けると、
「…起きた？A」
おはよう、と笑ううらたさんがいる。
ふわりと微笑むうらたさんの顔が
とても綺麗で
つい見とれてしまう。
「……A？」
「…え?あ、ごめんなさい」
謝って、そっと自分の体を起こす。
どうやら私は
うらたさんに膝枕をしてもらっていたようだ。ちょっと恥ずかしい。
と、いうか
うらたさんに謝らないと。
連れ去られる前
うらたさんを突き放したこと。
私は起きあがり、うらたさんの前に座る
「うらたさん、ごめんなさい。」
「…え?」
あの時、彼には酷いことをした。
混乱していたから、なんて理由にはならない。
もう一度、ごめんなさいと謝る。
うらたさんは、ようやく私の意向を感じ取ったのか
A、と優しい声で呼ぶ。
「俺別に怒ってないよ」
「で、でも」
「Aはさ、俺に触られるの…嫌だった？」
「え…？」
いつもより暗めな声に驚いてうらたさんを見る。
うらたさんの瞳は、不安そうに揺らいでいる。
「Aがもし嫌だったなら…無理は、言わない。」
「…、うらたさん」
「Aがその気なら、俺はもうAの前に現れないように出来るから」
「うらた、さん」
…私の事、嫌いになっちゃいましたか？
そう独り言のように呟くと、うらたさんの目が見開かれる。
「…は？」
「私、どうすればいいんですか…」
「いきなり私の前に現れたと思ったら、家に住まわせてくれなんて言い出して…
横暴すぎで…っ」
「…っ」
「でもなんだか優しくて、吸血鬼なのに噛んだのなんて最初だけだし…今考えたら、私の血、美味しくなかったからなんだろうなって思って…、」
「…っ違う、血を飲まないのは、Aに怖がられたくなかったから」
「私があんなに突き放しても、こうやって助けに来てくれて、」
1度は連絡を断ち離れた仲間に
連絡まで取って。
「…かと思ったら今度は私の前から姿を消すつもりですか…？
勝手すぎます…!そんな…っ!」
どれだけ私を振り回す気ですか…!
そう訴えるように言うと、うらたさんは1度私と目を合わせて
静かに目をつぶる。
「A、…俺はね、ずっと昔からお前を知ってた。」
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青花 - 本編完結(?)おめでとうございます！！番外編も楽しみにしてます！！ (2018年10月11日 0時) (
レス) id: 1d359370ef (このIDを非表示/違反報告)
ネージュ(プロフ) - 完結（？）おめでとうございます！番外編待ってますねー！ (2018年10月10日 21時) (レス) id: 4cedcbaa5d (このIDを非表示/違反報告)
カナリアの花(プロフ) - 青花さん» コメントありがとうございます。この小説にあまり自信がなかったので、そう言ってもらえて嬉しいです!完結までお付き合いいただければ幸いです。 (2018年9月26日 0時) (レス) id: cbcbd18a18 (このIDを非表示/違反報告)
青花 - コメント失礼します！この作品が投稿されてから読んでます！とってもおもしろいと思います！コメントをするのが遅くなってしまいましたがこの作品とても好きです！これからも頑張ってください！！応援してます！ (2018年9月24日 22時) (レス) id: 1d359370ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアの花 | 作成日時：2018年9月11日 18時
