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大学を出て、時計にふと目をやると
ちょうど2時だった。
特に用事もないので、昨日の古書店に行く事にする。
ヘッドホンを付けて歩き始めた。
ポツっと鼻先に冷たさを感じた。
ポツポツと雨が降り始め、足を早める。
しかしそれも無駄な抵抗。次第に雨足は強まり
全身はびしょびしょになっていた。
古書店の軒先で髪と服を軽く絞り、
ハンカチで水分を少し取りながら引き戸を開けた。
「こんにちはー…」
カウンターにまた彼が座っていた。
私の声に顔を上げると驚いたように声をかけてきた。
「いらっしゃいませ…ってびしょ濡れやないですか！」
「えへへ…ちょっと雨に降られてしまって…」
「ちょっと所やあらへんよその濡れ具合…ちょっとタオル持って来るから待っててくださいね…」
「え、あそんな良いですって…」
「風邪ひいたら困るでしょう…！」
そう言って彼は奥へと行ってしまった。
手持ち無沙汰になったら私は、
とりあえず奥の小上がりの方へと移動した。
ひょこっと中を覗くと、
そこは昔ながらの畳張りの居間だった。
暖簾のかかった更に奥から彼がバスタオルをもって来た。
「これ、洗濯してあるんで使ってください。」
「あ…すみません、ほんっとに。」
ふわふわのそれを受け取り、
わしゃわしゃとセミロングの髪をふく。
「……それ乾いてへんのやないですか。」
横からじっと見ていた彼が呆れたようにいう。
「え？…あー別に水気とれればいいので…」
「あんたホンマに女の子か？もうちょいちゃんとせな髪が可哀想やろ…」
うぐ…と図星をつかれる。
「はぁ…ドライヤー持ってくるから、もうちょっとちゃんと髪の毛拭いてて。」
「え、あはい。」
それから数分後。
いつの間にかわたしは、
名前も知らない彼に髪を乾かされていた。
続く (更新停止中)
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藍知(プロフ) - カルマさん» ありがとうございます。めちゃくちゃゆっくりですが、これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2020年9月15日 11時) (
レス) id: d8ed8b638e (このIDを非表示/違反報告)
カルマ - この作品すごい好きです!頑張ってください! (2020年9月14日 21時) (レス) id: 7ca463c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍知 | 作成日時：2020年8月30日 0時
