ワケあり少女5！ (ページ41)

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四十一話ページ41

『、、。』

次に気がついたときに見えたのは、白い天井。
横を見れば、ここがどこなのかすぐわかった。

『私、』
「溺れて気絶です。」
『、勇太、』

いつからいたのか。
少し下を見るようにして目を向ければ、そこには穏やかな顔をした勇太がいた。

「大丈夫ですか、Aさん。」
『、、、うん。』

その大丈夫、には。
落ち着いたか。
そんな意味も込められてる気がした。

『、、、なにがなんだか、わからないの。』

どうしてみんなを拒んでしまうのか。
なにがわたしをそこまでさせるのか。
どうして私、

『なんでこんな意地になってるんだろう。』
「、、、」

はぁ、と１つため息を吐いたら、ゆうたの手が私の頭をなぜた。

『、、、勇太、』
「怖いんですね、Aさん。」

貴方のような人でもやっぱり怖いと思うんだ。

ふっ、と表情を緩める彼に思わず眉根を寄せた。

「俺は、臆病者だし、結構軟弱者です。」
『違うわ。』

勇太が言いたいのはそこじゃなくてそのあとだということは理解してる。

でも、今の発言を放っては置けない。

『勇太は、とても強い人よ。』

『もし、何かで弱さが見えてしまったのなら。』

『それは、勇太の優しさのせいであって弱さじゃない。』

戦う術を持っていても、罵倒できる言葉を持っていても。

彼は、無意味にそんなことはしないし、優しさで溢れてる人。

この人がいなかったら、私は今どうなっていたのだろうか。

『勇太は良い人よ、絶対弱くなんかない、本当の強さを持ってるの。』

だから。
だから、そんなこと言わないで。

そう言えば、呆れたような。
それでもどこか嬉しそうに微笑む勇太が、私の手を握った。

「それは、Aさんにも言えることだと思います。」

そして、そう発して、また笑うのだ。

「Aさん、今まで見てきたあの人たちは、そう簡単に恐れる人たちですか？」

「そんなに簡単に、何かを切り捨てる人たちですか？」

「特に華月さんは、あなたを綺麗だと本気で言っていたとわかってるでしょう？」

「Aさん、」

「もう少し、他人に預けていいんですよ。」

ツゥ、っと伝う雫を拭われて、初めて自分が泣いてると気づく。

あぁ、そうか私、

『まだ、1人のままだったのね。』

まだ、他人を信じられてなかったんだ。

１つ息をこぼして、勇太の手にすり寄ってみれば、なんだか心が軽くなった気がした。