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二十八話 ページ28

蓮は、私が一向になにも言わないのに諦めてか、もうなにも聞かなかった。


『、、、そろそろ行くね、ありがとう蓮。』



そろそろここを離れないとな、なんて。
理由もなく彼らに捕まってはいけないなんて思ってる自分がいて自己嫌悪。


あれだけよくしてもらっておいて、本当にいいご身分だ私は。


でも。


パシャっ!


『っ、』


いきなりフラッシュ。
なんだかわからなくて目を細めたあと目の前を見てみると。


『、、、ヌーピー?』
「はい!」



気弱なヌーピーがカメラを構えてた。


『、、、私の写真は高いんだけどな。』
「売ったりなんてしませんからっ!」
『うん、何か違うわよヌーピー。』



とんちんかんな会話をするヌーピーに苦笑い。
話を聞けば、実は彼は最近カメラにはまっているらしい。


理由はというと。


「Aさんがすごく綺麗に雑誌に映ってて!なんか写真撮りたくなってっ!」



、、、なんと私らしい。
腑に落ちないのだけれど。


「折角なのでっ、」


とカメラを構えた彼にピースしてみるとフラッシュが焚かれた。


そしてふと思いつく。


『、、、ヌーピー。』
「はいっ?」
『いい、シャッターチャンスを逃しちゃダメよ。』



訳がわからなくてもとりあえず頷いたヌーピーを見てから。


『はいっ!』
「はっ?」



ぐいっと。
蓮の腕を引いてからカメラに向かって笑う。


蓮が私を突き飛ばす、、が。



「バッチリですAさん!」
『よくやったわヌーピー!』


時すでに遅し。
彼のカメラにはいい笑顔の私と不機嫌な蓮が映っていた。
、、、とても仲が良さそうに。


あれよあれ。
喧嘩するほど仲がいいってやつ。



そんなこんなで結局ヌーピーのカメラで騒ぎ出した私たちだった。


、、、傷なんて、ないみたいに。

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作者名:ヒヨコ | 作成日時:2014年12月26日 22時

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