二十五話 ページ25
優斗side
Aちゃんの過去。
それはもう僕たちは全部知れてたんだと思ってた。
だから。
『私が隠してる最後のこと、話そうと思うの。』
そんな風に言われた時、少しショックだった。
僕たちは、まだ彼女に秘密にされてることがあったのかって。
でも、話を聞いてて理解した。
《消えない傷》
それは、軽く考えればただの跡。
過去の傷、として終わるほど呆気ないもの。
、、、でも違う。
Aちゃんの場合、それは色濃く深く染められている。
刻まれている。
彼女の心と、背中に。
心理的なものと、物理的なものによって。
『醜いから。』
そう言いつつまくったことで見えた背中に、絶句してしまった。
何か言わなくちゃいけないってずっと思ってた。
彼女は「俺」を救ってくれたんだから今度は俺が、って。
でも、俺が何か言えるほど。
その傷は甘くなんてなかったんだ。
切り傷のようになりつつある根性焼きの跡もあれば、まるで銃痕の様に皮膚をえぐってるものもある。
そして何より背中は全体的に青黒くなっていて。
いつかのコンサートの時のYUYUは、キラキラして真っ白な肌で明るいライトを浴びてた。
、、、でも、背中にはこんな傷を背負ってた。
「っ、」
誰も、何も言えなかった。
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作者名:ヒヨコ | 作成日時:2014年12月26日 22時