太陽の末裔途中まで書いた。 (ページ17)

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ぼーっとして、いつかの崖へと足を進めていたら何かを察知して。
ふと顔を上げたら、背を向けて海を眺める彼がいた。

、、、ムカつく。
けれど、それすら様になっていてかっこいいとか思ってしまう自分もいるのだから救いようがない。

彼には、もう二度と会うことはないと思ってた。
会わないでいれば、私の中の彼は消えていくものだと信じてた。
、、、実際はふとした瞬間に思い出した。
人を好きになったのも下手したらこいつが最後な気がしなくもない。

吊り橋効果もあったのかもしれない。
けれど、あの人が私の心に居座る時間も占領してたスペースも。
ちょっと、大きすぎたのだ。

バレないように。
そっと振り返り、歩き出す。
今この人と普通に話せる自信はない。
あの2人は、話してもらえなかったことを気にする間柄なのだ。
私には、その資格はない。

［来ると思いました、貴方は相変わらず海が好きですね。］
「っ、」

資格はない。
話す気もない。
そう思って踏み出した足は、ほんの一声で止まってしまう。

「、、、帰られるそうですね。」
［えぇ、まぁ少し無茶をしすぎましたので。］

もう耳に入っていたのは想定外です、知らないかと。
そう言う彼に、顔が見えないのをいいことに自嘲気味に笑う。
またいなくなるなら、これくらい言ってもいいだろうか。

「貴方の好きな、カン先生から聞きました。美人で可愛らしい先生です。」

あんまり泣かせたらダメですよ。
そう言ったら、今度は後ろで息をのむ声がした。
と、思ったら。

「っびっくりした、」
［、、、泣いてるのかと思った。］

回り込まれて、顔を覗き込まれた。
とっさに体を引けば、彼は少し安心したように。
やれやれ、って笑った。
記憶にあるより少し大人びた、いろんな経験をして老けたその顔で。
記憶にある表情と同じことするもんだから、イラついてるはずなのに自然に頬が緩んだ。