その5 ページ26
後夜祭は、これまた大盛り上がり。
バンドグループが歌ったかと思えばなんだかよくわからないギャグが披露されたり。
女子バレー部に所属してはいるものの、みんなそういったことをやろうとはしなかったので私は今年も体育館の隅に座って観覧だ。
ステージ前に人が密集して飛び跳ねているのをぼーっと見遣る。
夢のような1日だった。
まさか私のような奴がダンスなるものを、しかも社交ダンスのようなものを踊る機会があるとは。
最初に踊った部長さん(だったらしい)も、八巻くんもとても上手で私まで上手くなった気がした。
踊ってるときは必死だったからそれどころじゃなかったけれど、友達にはとても上手に踊れていたと褒めてもらえた。
さっきまで隣にいた友達たちも「混ざってくるね!」と言い残し飛び跳ねにいったのでひとりぼっちで体育館の隅に座って盛り上がるみんなを見てる、んだけど。
『(拭いきれないぼっち感。)』
だからと言ってあそこに混じりたいわけじゃないからいいんだけど。
密集して飛んで足とか踏まないのかな、あ、転けた。
そんな意味もないことを思いながらぼーっとしてれば。
「暇そうだな。」
『、、、?』
なんか、聞こえた?
こんな喧騒の中で?
ちょっと顔を右にずらせば、
『っ?!』
「よ。」
いた。
八巻章が。
私のすぐ右隣に。
思わずズサっと体ごと左にずれてしまう。
いや、だって、近い。
「、、、。」
『ひっ?!』
ムスッ、とした表情を見せたと思ったら。
(そりゃそうだ顔見て逃げられたら私だっていい気はしない。)
ずれた分近づいてきた、って無理無理無理やめよう?!
「なんで逃げるんだよ、」
『っいや、だって、』
ずいっ、とその端正な顔がまた近づく。
だから近いんだってば?!
「、、、ま、いーや。」
『、、、?』
よくわからないけど解放されて一息つくものの、なんだったんだろうと頭には疑問符だ。
よく考えなくてもわかることだが、彼のようなタイプの人間ならあの群れに呼ばれて揉みくちゃにされてるはずだ。
なんでここにいるんだろうこの人?
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作者名:ヒヨコ | 作成日時:2017年8月17日 10時