短編にもなってない短編集 (ページ15)

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『、、、。』

ばたばたばたばた。
走る音、怒鳴る声、飛ぶ指示。

怒鳴る声は、早く、だの、あいつどこ行った、だの。
まるでいつもの日々なのに。

「おやっさん！三日月もう乗せられるよ！」
「おぉ！！！

、、、これから、出撃するんだ。

「、、、。」

眉間にしわをたくさん乗せて。
じ、っと立ち、自分の機体を見つめる昭弘。

ラフタ姉が、昭弘のことを好きなのは知ってたし。
昭弘が、そういうのとびっきり疎いけど、もし告白されたら断らないだろうなんてこともわかってた。

男と女。
女と男。

、、、仕方がなくて、当たり前のはずなのに。

『気持ち悪い。』

とてつもなく嫌悪したくなるのは何なのだろうか。

「大丈夫か、A。」
『、シノ。』

ぐしゃり。
私の髪を掴むようにして撫でたその手を自分の手で捕まえて、腕ごと抱え込む。

「うぉっと、」

座っていた私と立っていたシノ。
引っ張ったことで、シノも私の隣に腰を下ろすことになった。

「どうした。」

不満も言わず、そのまま座って、私のことをもう片方の手で撫ぜて。

ニヤリ、と。
まるでいつものただの日常のように、彼はそう問うた。

『、、、んーん。』

何でもない。
そう言いながら、シノに両手を広げれば、苦笑いをしながら抱きしめてくれた。

「何でもないのか？」
『何でもないの。』

決していい匂いはしないしむしろ臭いけど、それでも私はお兄ちゃんたちとの関わりがあると実感できるこの行為が好きだった。

男とか女じゃない。
家族の愛をもらう。
ただ、それだけ。

子供っぽいとは思うけど。

でも、私の家族がここにいる。
私を受け入れてくれる人がここにいると分かるこの行為は、私がとても欲するもので。
私の支えだった。

『、ん、』
「よし。」

充電完了だな。

ニッ、と笑った彼に、私はうまく笑えただろうか。

「んじゃ、先行くぜ。」
『うん、』

行ってらっしゃい。

何気なく。
そう口にしたら、

「「「行ってきます！！！」」」
『っ、』

みんなが。
そう言って、くれたから。

『っうん、』

私もすぐ行く。
なんて。

そんな言葉が、口からこぼれ落ちた。