36. ページ36
.
『…辰哉くん、そこ、ぜんぜんちがう』
深「えー、まじぃ？もうだめ、おれ。これ向いてないわ」
やっと真面目に勉強し始めたと思ったのに、30分経った時にはもうこれだ。
少し難易度が上がったところでまた躓いた彼は、問題も半ばでシャーペンを放り投げると、机に突っ伏して音をあげた。
果たしてこの調子で、本当にテストに間に合うんだろうか。
教えてる私ばかりが心配になって、赤点さえ回避すればいーから、と当の本人はお気楽だから困る。
深「Aー、一回休憩しよーよ」
『…まだ始めたばっかだけど、』
深「えー、もう2時間くらい経った気分」
『…はぁ』
彼を教えてばかりいられるほど余裕があるわけでもない私は、ため息をついて自分の参考書を開く。
顔をあげれば、私と同じように呆れたような表情を浮かべている人がひとり。
岩「おい翔太、おまえ寝んなよ」
渡「んー、…………むり」
私のちょうど向かいに座ってる岩本くんも、隣で寝ている渡辺くんの肩を揺らしながら眉を寄せていた。
飽きてしまったのか全然勉強を再開しようとしない渡辺くんに大きくため息をついて、髪を乱した彼と目が合う。
…どっちも、大変だ。
私を見てふにゃりと困ったように笑った岩本くんと、今なんか心が通じ合った気がする。
…まぁ、勝手に、だけど。
それから、すぐに遊び始めてしまう辰哉くんとすぐに寝てしまおうとする渡辺くんに、休憩を交えつつなんとか勉強を教えながら、
始めてから1時間半くらいが経った頃、辰哉くんが「俺ちょっとトイレ行ってくるわー」と席を立った。
…行っちゃった、
私と、そして前に座る渡辺くんと岩本くんを繋ぐ唯一の理由である彼がいなくなってしまったテーブルには、なんとも言えない微妙な空気が流れて、
それから逃げるように目の前に広げた参考書に視線を落とす。
しかしそれからすぐに、
(…なんか、めちゃくちゃ見られてる、)
斜め右方向からなんか異常に視線を感じて。
「ねぇ、」
その主が明らかに私に向かって声を発したところでちらりと顔をあげたら、
案の定声の主である渡辺くんが、反応を示した私に身を乗り出してきた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
