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「っあー、まじ目の保養」
「あんたほんと渡辺の顔好きだね、」
「えーだってイケメンじゃん。サヤは岩本くんでしょ？」
「…うん、」
「一途だよねー」
「かわいいやつめ」
「ちょ、恥ずかしいよ」
盗み聞きするつもりはないんだけど、大きな声でそんな会話を続ける彼女たちの声が耳に入ってくる。
なるべく隣の彼女たちのことは見ないように、その会話を聞きながら私は視線を辰哉くんに下ろした。
……イケメン、か。
彼女たちの会話の中心になっていることなど知らない彼らは、中庭のところでなにやらふざけ合っている。
あの背の高い方の人が岩本くんだったっけ、
それでその隣が、渡辺くん。
この前食堂で話をしたときは思わなかったけれど、隣の彼女たちの言うように、彼らは整った顔をしているのかもしれない。
…だけど私は、
「私はふっかかなー」
ふと、聞こえてきた声に胸の奥がぎゅっと痛んで、私は思わず息を呑んだ。
辰哉くんの頭に向けていた視線をちらりと横に動かす。
そうしたらさっきの女の子３人のうちの1人の子が、窓からちょっと腕を出して、笑っている横顔が見えた。
「え、あんた彼氏いんじゃん」
「それはそうなんだけど、ふっか面白くてノリいいし、あと優しいし。正直ふっかと付き合えるなら彼氏と別れる」
「えーさいてー笑 …でもちょっとわかる」
「でしょ？笑」
けらけらとした笑い声が聞こえてくる中、わたしの心は重い。
苦しい。もやもやして、なんか苦しい。
私はこの感情を知ってる。
でもだめなんだ、このままじゃ。
この感情を認めててしまえば、わたしは盲目になる。辰哉くんしか見えなくなる。
それはダメなんだ。
せっかく頑張ってきた今までの時間がまた無駄になっちゃう。
いま私が1番優先しなきゃいけないのは、これじゃない。
鎖骨あたりで揺れている自分の黒い髪に視線を落として、ぎゅっと目を瞑った。
『……煩悩退散』
お願いだから、消えて。
こんな感情今の私には、いらないから。
だから早く消えて。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
