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最近のわたしと辰哉くんの関係について。


まず、朝は絶対いる。これに関してはもう私も諦めてしまった。

お昼は勉強したいって言ったから、この前のあの一回以来はひとりにしてくれるけど、

放課後はたまに下駄箱のところで捕まってそのまま一緒に帰らされたりする。


遊びに行こうとか言われる時もあるけど、それはさすがに全部断ってる。

その度にそっかーって残念そうな顔する彼に、たまに心が揺らいだりするけど、我慢。


そういうときは

『……煩悩退散』

そう呟いて、目を閉じれば私の中から彼が消えていってくれる。


これは中学生の時に手に入れた技。

どうしようもなく彼が好きだった頃に得た、彼を意識しないようにするための方法。

あの頃は感情をコントロールするのが大変だった。

…そんなコントロールも、最近また少し不安定になってきてるけれど。




そんなことを思いながら学校の廊下を歩いていると、


「ーーーーー」


開いた廊下の窓から流れ込んできた、聞き覚えのある声に思わず足を止めた。


…これ、絶対辰哉くんの声だ。

わたしが間違えるわけがない。理由は、…聞かないで。


耳に入ってくる辰哉くんと、それから何人かの笑い声。

どうしようかと一瞬迷ったけれど、ちょっとだけと。少しつま先立ちをして、声のする方を上からのぞく。


……やっぱり辰哉くんだ。


秋の風にふわふわ揺れてる髪が見えて、切なく胸が揺れた。

窓枠を掴んでいた指に力が入る。


なんの話をしてるのかはここからじゃよく聞こえないけれど、けらけら笑ってるのは見える。


辰哉くんと一緒にいるのは、この前食堂で彼に紹介された彼の友達だという、名前は…えっと、


「あ!見て、渡辺じゃん!」
「え、まじ?ほんとだ、てかふっかも岩本くんもいるし、」
「うそ、岩本くん?!」


そう、その人。渡辺くんと、岩本くん。

…え?


突然入ってきた声に顔を上げれば、私がのぞいていた窓の一つ隣の窓から私と同じように身を乗り出している三人組の女の子が目に入った。

かなり短いスカートを気にもせず、つま先立ちをしてる彼女たちは、どうやら下にいる辰哉くんたちのことを見ているようだ。



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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…!更新頑張ります!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです!更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…!自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです!さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…!!ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます!!しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます^^ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…!描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです!今後もよろしくお願いします…! (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こゆき | 作成日時:2020年10月5日 23時

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