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『てか辰哉くん、手、離して!』



危ない危ない、また忘れそうになっていた。

辰哉くんが触れている私の腕が熱を持って、そしてその熱が心臓まで流れ込んで胸が苦しい。


慌てて掴まれた腕をブンブンと振ったら、彼は何だかちょっと意地悪な表情を浮かべる。



「えー最初に掴んできたのAなのに?」

『っ、それは、辰哉くんが呑気に寝てたからでしょ』

「はは、それはごめんって」



…なんか、ごめんの後ろに(笑)って見えるんだけど。

ゆるりと下がった目尻。軽く持ち上がった口角。

心臓ばっくばくの私に対して、彼はいつもなんだか余裕げだ。昔からずっと。



『とにかく離して!』
「けちー」

『"けちー"じゃなくて、』



くすくす笑ってる辰哉くん。

手首に回された指は、どうにも離される様子を見せない。



「ほっそいね、腕。折れちゃいそう」

『ちょっ、』



持ち上げられた自分の手が空に浮いてる。

私の手首を容易く一周してしまう彼の人差し指と親指を見ながら、こんなに手大きかったっけって、なんか上手く息ができなくて。

普通の男の人に比べたら指とか細っそりしてて長くて、だけど私が彼を追いかけてた頃の彼の手はもっと柔らかそうな感じだったから、

浮き出てる筋とかそういうの、心臓に悪くてちょっと見てられない。



「ちゃんと飯食ってんの?」

『………食べてる』

「え、まってなに今の間。食ってねーの?」

『別に、…食べてる』



食べてはいる。

ただここ2、3年、その量がちょっと減ったってだけだ。


さっき言葉が詰まったのは、お母さんにもよくもっと食べなきゃダメよって言われてて、ってことは私あんまちゃんと食べてないのかなって思ってたから。

昼ごはんは小さめのおにぎり一つとサラダだけど、お腹はいっぱいになるから食べてないことはないんだと思う。


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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…!更新頑張ります!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです!更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…!自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです!さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…!!ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます!!しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます^^ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…!描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです!今後もよろしくお願いします…! (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こゆき | 作成日時:2020年10月5日 23時

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