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>Fukazawa side.
『…あーあ、逃げられた』
朝の廊下はわりと人が多くて。俺がAを追って教室を出た頃には彼女の姿はもうどこかへと消えていた。
廊下の真ん中でガシガシと頭を掻いている俺をすれ違った何人かが不思議そうな顔で見ていたけど気にしない。
俺はひとりはぁっと溜息をついて、それから逃げ足の速い幼馴染がさっき俺に向けた顔を思い出したら自然と頰が緩んだ。
…あー、かわいい。
俺の手から解答集を奪い取った時のあの顔。
あからさまに不機嫌で、ちょっと下唇を噛んで俺を見上げたあの表情。あの子はなんであんなに可愛いんだろう。
その顔が昔と全然変わってなくて、ほんとまいった。
あれは彼女が昔よく、俺が他の女の子と話してる時にしてた顔だ。
やきもちが全面に出てる表情。きっと本人も俺以外の周りのやつも、誰も気づいてないんだろうけど俺にはわかる。
────変わってなくて、よかった。
それを知れただけでも今朝の収穫はかなりでかいと思う。
「うわ、朝っぱらからなんでそんな顔してんだよお前」
Aを探すのは諦めて教室に戻れば、部屋に入るなりゆるゆるになった俺の顔を見てそう、いかにも不快だというような声色を俺に向けたやつがひとりと。
そしてその隣で俺を見てうっすら笑みを浮かべるやつがひとり。
不愉快そうに眉を寄せてる方が、渡辺翔太。それで、呆れたように笑ってる方が、岩本照。どっちも俺の友達。
渡「昨日は人生終わったみたいな顔してたくせに、なに、もしかしてなんかあったの？」
岩「どーせ"Aちゃん"だろ」
照が全部お見通しだよ、的な視線を向けてきた。
あぁ、そうだよ。その通り。
渡「あー、ふっかが勝手に自分に気があると思ってたあの"Aちゃん"ね」
『勝手にじゃねーよ、事実だから』
Aは俺に気があると、最初に気づいたのはたぶん小学6年生くらいの時。これは俺の自惚れとかじゃなくて、本当に。
周りからも言われていたし、人づてに彼女が俺を好きだと思っているということも聞いていたし、そしてなにより俺自身が。一緒に過ごす毎日の中で、日々そのことを実感していた。
俺のことを目で追ってるのとか、俺の言った言葉に反応してるのとか、ほんとに可愛くて。
そして俺はAのそれを知りながらも、彼女が俺の一挙手一投足に反応するのを楽しんでいた。
まあ所謂あれだ、好きな子ほど意地悪したくなる、的な。そーゆーやつ。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
