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「それ、なんの問題解いてんの？」
『………数学』
ここにいるだけ、とか言ってたくせに結局すぐに話しかけてきた辰哉くんはその返答にうげっと顔を歪めると、私の机の上から解答が載ってる冊子を取ってパラパラとめくり出した。
…ほんとに、なにがしたいのかさっぱりだ。
昨日まではひとりきりだったこの時間に、彼が入り込んできていることが違和感だし少しストレスでもある。
これが辰哉くんじゃなかったら無理やりにでも私の視界から追い出すんだけど、彼相手だとそうもいかない。
だからその姿を見ないように顔を下に向けた。
そうしたら視界いっぱいに映るのは、数式の書かれたノートだけになって、それでなんか安心する。
「あれ、ふっかなんでいるの？」
「んー？ちょっとね」
7時半を越えた教室にはさっきからちらほらと人が増えてきていた。
ふと聞こえたその会話にちょっとだけ意識を向ければ、彼とたぶん私と同じクラスの女の子(申し訳ないけど名前はわからない)がなにやら話を始めた。
…そっか、みんなには"ふっか"って呼ばれてるんだっけ。
と、余計なことを考えている自分に気づいてハッとする。
普段だったら勉強中に誰かが話していようがなんだろうが、全く気にはならないし途中でその声は聞こえなくなるのに。
これまた辰哉くん相手だから、どうしても気になってしまうのだ。
「ねぇ、今度またカラオケ行こうよ。ユミ達もまた行きたいって言ってた」
「えー、俺今月金欠だからなぁ」
「じゃあ来月は？」
「んー、まあ考えとく」
ユミちゃんが誰なのかはわからないけど、今の会話から辰哉くんと彼女がかなり近い関係であることはわかった。
…なんだろう。
なんか、ちょっと、……心臓が重い。
楽しそうに話を続けるふたりの会話が頭に入ってどうにも集中できなくて。
私は思わず、がたりと音を鳴らして椅子から立ち上がった。
思い切り立ち上がったから、結構な音が出てしまったみたいで2人がこっちを振り向く。
…それで。
「っ、びっくりした。え、葉山さん？」
「ちょ、A、」
目を丸くさせた辰哉くんの手から私の冊子を奪い返して、問題集とノートと。それから机の上に転がっていたペンをしまった筆箱を抱えて。
「…あれ、いま葉山さんのことAって」
「っあ、おい！」
私は逃げるように教室を出た。
────いや、逃げたと言ってしまった方が正しいかもしれないけれど。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
