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────だから、


『……いいけど、ここまでするんだから絶対赤点回避してよ』


今回だけは、特別だ。

辰哉くんが補修を免れるために頑張ると言っていたこの中間テストまでの数日間だけ。

特別に彼に付き合ってあげようと思う。




「ふは。うん、頑張る。ってか、Aと一緒にやったらいける気がしたわ、俺」


これは満点取れるかもしんねーな、と肩をぐりぐり回してなぜか自信満々な彼に、私は思わず笑ってしまった。



そしたらなぜか、辰哉くんが突然立ち止まって、


「久しぶりに見たわ、Aが笑ったところ」

『…っえ?』


私に向かってそう言った。

彼につられるように足を止めた私は、その言葉に辰哉くんの方を振り返る。



笑った、?

あ、いま、


…たしかに笑ってしまった。

少し気が緩んでいたからだと思う。

普段はなるべく辰哉くんの前では表情を崩さないように気をつけていたのに。


何も言えずに瞬きをしていたら、ゆるりと口角を上げた彼が2メートル分くらい離れた場所にいる私に向かって歩き出した。


そしてじわじわとその距離を縮めていって。

それで私の目の前にやって来ると、ふわりと私の頭に手を伸ばす。



「変わってないね、笑った顔」



頭の上に乗せられた重みが、ゆっくりとそこを撫でる。

突然のことで驚きに身体を固まる私にお構いなしに、彼はそのままその手を私の肩に置く。


触れられた部分が熱くて、じわじわと頰に熱が走って。

辰哉くんは私の顔を覗き込むと、柔らかに笑った。



「かわいい」



私たち以外には誰もいない、静かな道の真ん中に、彼の発したその言葉が落とされる。



『っ、』

「すげー、かわいい」



真っ黒な瞳と目が合った。

愛おしそうなものを見るかのようなそれに、不覚にも胸がぎゅうと締め付けられて。



どくん。



心臓が、不自然なくらいに大きく一回。

鼓膜に響くくらいの音を立てて暴れた。



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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…!更新頑張ります!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです!更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…!自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです!さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…!!ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます!!しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます^^ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…!描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです!今後もよろしくお願いします…! (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こゆき | 作成日時:2020年10月5日 23時

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