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『────ってことでA、勉強教えてくんない？』
「……え？」
バスの中。顔を上げたAが母音をこぼす。
そのまま首をこっちに向けると、彼女は俺を見てぱちりと瞬きした。
「……私が、辰哉くんに？」
『そう。あとなべも』
中間テストまであと1週間ということを先程照に知らされた俺は、彼女に泣きついた。
「…知らなかったの？」と若干呆れた視線をこっちに向けていたAの手には、テスト範囲のまとめっぽいノート。
さすが、彼女は今回も準備万端らしい。
このお願いは、来たるテストへの対策としてのお願いが7割、そして残りの3割が下心からくるものだ。
だって、勉強もできてAとも一緒にいれてって考えたらすげぇ良くない？
ちなみにこれは俺の案ではなく、翔太が言ってきた案。ついでに自分も勉強を教えてもらいたいのだとか。
そうなると2人きりにはなれないけれど、まあ、そこは妥協するってことで、
「なべ…？」
『渡辺翔太。前に食堂で会ったでしょ？』
「…あぁ、あの人」
『あいつも俺とおんなじで、今回のテストで赤点回避しないと補習なんだよ』
「それは自分たちのせいなんじゃ、」
そう言って再び単語帳に目を落とそうとしたから、「それはそーなんだけど、」と無理やり話を続ける。そうすれば彼女はまた顔をあげた。
いつも思うけど、Aは俺が話しかけると勉強しててもちゃんと話を聞いてくれる。
そのせいで勉強進まなかったりで迷惑かけてるんだろうけど、いまはそれを利用して詰めさせてもらおうと思う。
『お願い、A』
「ちょ、」
俺に見つめられているAは口を一文字に結びながら、視線を忙しなく泳がせて戸惑っている。
…あ、なんかいけそう。たぶんあとひと押し。
『助けて？』
できるだけ可哀想なやつの顔を作って、そう言って目線を合わせて覗き込めば、
「っ、」
俺を映した丸い瞳が揺れた。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
