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《次は〇〇高校前》
バスに揺られ、必死で頭の中に英単語を入れ込んでいたら聞こえたアナウンス。
…もうすぐ着くのか。
それで集中がぷつりと途切れて、そういえば辰哉くんからの視線を感じなくなったな、と思って隣を見たら。
『………え、』
私の隣でバスの座席の肘置きに頬杖をついたままその目を閉じてこくこくと頭を揺らしている彼。
……もしかして、寝てる？
片手に持ったスマホの画面は真っ暗で、小さく咳払いしてみても起きる様子を見せない。…困った。
どうしよう、……起こさなきゃ、だよね？
窓側に座ってしまった私は彼を起こしてからでないと出られないし。
そう、単語帳をカバンにしまってそっとその肩に伸ばしてみたけれど、
『…っ、』
ぎりぎり触れるか触れないかくらいのところで止まってしまった私の手。
さっきまではなるべく見ないようにしていたけどこうしてちゃんと見てみると、窓から差し込む朝の日の光に照らされた横顔とか、首筋のところに浮き出てる筋とか、
そういうのがなんか、…どくんどくんと、拍動をおかしくして。
無理だ、…触われ、ない。
肩に触れることすら躊躇ってしまう。
そうこうしてる間にも、近づいてくるバス停。
たぶんあと30秒くらいで着いてしまう気がする。
『た、辰哉くん』
いまだに起きる気配のない彼に、頑張ってそう声をかけた。
だけど私の小さい声じゃ全然意味がなかったみたいで、彼はピクリとも動かない。
《〇〇高校前〜》
…っあぁ、もう！
『辰哉くん、着いたよ、…っねぇ、辰哉くん！』
迫るリミットに、勢いに任せて数ミリの見えない壁を越えて彼の肩に触れた。
そのままぐらぐらとその肩を揺らしていれば「ん、」と小さな声を漏らした彼がうっすら目を開く。
『辰哉くん、着いた！』
「ついた…？」
状況がよくわかっていないのか、彼はどうしたの？とふわふわした感じでこっちを見つめた。
その掠れた声と柔らかい雰囲気にぎゅっと心臓が甘く掴まれたけど、…今はそんなこと気にしてる場合じゃなくて。
ついにバスが止まって、ぷしゅーっと音を立ててドアが開く。
…ああ、ほんとに、
『っもう！』
「っあ、え？」
このままじゃ本当に降り遅れてしまうと焦った私は、まだ寝起きでぽわぽわとしてる辰哉くんを無理矢理席から押し出すと、
『降りるの！』
そのままふらついてる彼の腕を無理矢理引っ張って、大慌てでバスを降りた。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
