失恋万年筆〜佐久間次郎〜 ページ8
あれはまだ中3の頃。
ちょうど、世の中3は受験生でもう真剣にならないとヤバイっていう8月だった。
俺は私立だったから、エスカレーター式で高等部に行くため、受験なんて関係なかった。
もちろん、進学試験はあったけど。
でも、内部で落ちるやつなんてほとんどいない。
だから、夏休みなんて本当にいつも通り部活と宿題に追われながらだらだらと過ごしていた。
「ねぇ、また告白されたの、佐久間？」
「…なんで知ってんだよ」
「いやぁ、たまたま源田から聞いちゃってさ」
幼馴染の神田(かんだ)A。
幼稚園からの付き合いで当時の俺の好きな人。
…結局、気持ちを伝えられないまま終わったけど。
自分で言うのも何だけど、あの夏休みは本当にモテ期だった。
それのせいで、なぜか俺は遊び人っていうイメージがついてしまい、迷惑したものだ。
しかも、その噂がAにまで伝わってるっていうんだからもう本当に最悪だった。
意外かもしれないけど、あのときは本当にA一筋だったからな。
勝手に誰に告白されてたとか言いふらしたサッカー部の連中はいまだに恨むからな。
「すごいよねぇ、この夏休みだけでもう15人だよ」
「いちいち数えんなよ」
「だって気になるじゃん」
自分のことを気になると言われると、期待していた思春期の馬鹿な自分。
でも、馬鹿でもなんでもいい。
俺のこと好きなんじゃないかって希望が見えるだけで、世界って輝いて見えてくるんだ。
「あっ、そうだっ！
ねぇっ、聞いて！！」
「…なに？」
突然、話を変えるのもAの特徴。
思わせぶりな態度を取っておいて急に突き放す。
俺も少し態度が冷たくなってしまう。
…本当に子供だったな、俺は。
「じゃーんっ！
いいでしょ、パパに買ってもらったの！！」
「万年筆？」
「そうっ、ずっと欲しかったの」
Aが持っていたのは上等な黒色の細身の万年筆。
Aのお父さんは海外で働いてて、ちょうどフランスにいた時期だったあのとき久しぶりに日本に帰ってきたときのお土産だったらしい。
フランス製でAのイニシャル入りの万年筆。
「世界に1本だけだよ、かっこいいし、何よりパパから何か貰うのって初めてなんだよね」
Aのお父さんは今どき珍しい厳格な人で一人娘のAにも厳しかった。
だから、お土産なんて買ってくるタイプでもないからAはすごく嬉しそうだった。
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天羽 - ハルさん» ありがとうございますヽ(；▽；)ノ面白いなんてそんな大それたこと…笑応援していただけるなんて本当に嬉しいです^ ^これからもよろしくお願いします☆ (2015年9月6日 2時) (
レス) id: 6d71fc225e (このIDを非表示/違反報告)
ハル - とても面白いです(*´∀｀)更新頑張ってください！応援しています( *・ω・)ノ (2015年9月5日 22時) (レス) id: 3c0944accc (このIDを非表示/違反報告)
天羽 - Berryzさん» 評価もお気に入りもコメントまで…ありがとうございますヽ(；▽；)ノエビフライ仲間がいて嬉しいです笑1日1回は更新したいと思いますのでよろしくお願いします☆ (2015年9月4日 16時) (レス) id: 6d71fc225e (このIDを非表示/違反報告)
Berryz(プロフ) - とっても素敵でした！！評価やお気に入りにさせて頂きました！！自分もエビフライって読んじゃいました(笑)これからも頑張って下さい！！ (2015年9月3日 22時) (レス) id: 5618d1cd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天羽 | 作成日時：2015年9月3日 17時
