小さな恋を筆箱に詰め込んで【イナシリ短編】

付箋恋文〜霧野蘭丸〜 ページ5

昨日のことが忘れられなくてなかなか眠れなかった。


人生初の告白は、後輩君からで、しかも1年では1番といってもいいほどモテてる男の子。



生活委員で去年から一緒だから仲が良くて、よく相談とかも受けてたけど、まさか告白されるなんて思いもしなかった。



断っちゃって本当に申し訳なかった。



確かに私も好きだけど、そういう好きじゃないんだ。



自分ではっきりと分かるほどに私の心はあなたのことでいっぱいなの。



初めて話しかけてくれた…いや、手紙をくれたときは嬉しくてしかたなかった。


だって、去年に転校してきてすぐに一目惚れしたのがあなただったんだから。


まさか、今年になって同じクラスになってそれだけでも幸せなのに、隣の席になって仲良くなって…

本当に奇跡みたいな時間。

授業中に手紙を回すのとかどうかと思ってたけど
彼からの手紙は素直に嬉しい。
手紙といっても付箋だけど、今までくれた付箋を全部筆箱に入れてるほど好きなんです。


私が返事を書くときにハートの付箋をわざと使ってるの分かる？


なかなか伝えれないけど、伝えたいもどかしい気持ちの表れなの。


私にとってあなたに返事することはラブレターのようなもの。



実は好きが伝わっていたらいいな、なんて…。




今日も彼に会えると思うと学校へ向かう足が軽い。


鼻歌なんて歌っちゃいながら靴を履き替える。


生活委員だから早く来てるけどほとんどの生徒はもっと遅く来る現在7時半。


教室もどうせ開いてないだろうからと職員室へ進めようとしたその足に違和感を感じた。

上靴に何か入ってる…？


上靴を脱いで確かめると違和感の正体が分かった。


見覚えのある形だけど色が違う。


書いてある文字も見慣れた綺麗な字。


「…返事、書かなきゃ」


そうやって1人でつぶやいて何となく笑った。


“Aのことが大好き。

OKだったら授業中に返事ください。”


大きめの付箋だけどやっぱり書く文字数は限られてくる。


ずいぶんと言葉を絞ったんだろうなぁ…。



手紙を書けばよかったのに。


でも、きっと私は今、喜んでる。


直接言われるよりも何だか嬉しいなんて。




つくづく彼らしい素敵なラブレター。


＊end＊

作者より(OvO)スルーしてもお話には関係ないです。→←付箋恋文〜霧野蘭丸〜

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