素直になれなくて……【アイナナ】 (ページ10)

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第8話ページ10

私が来ていたのは伝説のアイドルゼロが最後のライブを行った｢ゼロアリーナ｣だった

気付いたら涙が出ていた

悔しい。頑張ったのに、アイツにギャフンと言わしてやるって頑張ったのに！
彩香やりんには才能があるけど私には才能がない…本当にアイドル、辞めた方がいいんじゃないかな

｢待ってくださいよ！急に走り出したら驚くじゃないですか｣

え！？なんでアイツがここに

｢なんで、あんたがここに…｣

｢星川さんが急に走り出したから驚いて追いかけて来たんですよ。｣

なんで、追いかけて来たの？泣いてる私を見て嘲笑いたかった？
でもアイツの目は嘲笑ってるようには見えなかった

｢心配しましたよ、急に走りだすから。あとこれジュース、私の奢りです。あなた最近練習頑張ってたでしょ？｣

｢ありがとう。見てたんだ｣

なんだいい所あるじゃん！てっきり性格悪いだけの奴かと思い込んでた

｢はい、私を舐めないで下さい。私を見返す為というしょうもない理由であれ頑張ってました。｣

｢一言余計……｣

｢あと、前のアイドルに向いてないって言葉は撤回です。星川さんならきっと素晴らしいアイドルになれると思います｣

え？何いきなりそんなこというの？一織さんらしくないじゃん！

｢そんなことないよ…｣

｢いえ、私の分析力を舐めないで下さい｣

真剣な眼差しでそう言っていたから少し驚いた

｢実は、私も失敗した時ここに来たんです｣

｢え？あんたが失敗する事なんてあるんだ｣

｢はい、1度だけ。その時メンバーが励ましてくれたんです、だから私も星川さんを励ましたいとおもって｣

｢へぇー、あんたらしくないね｣

いつも毒舌吐いてるくせに励ましたいってアイツらしくないじゃん

｢なっ！せっかく人が真面目に話してるのに｣

｢嘘だよ、ありがとう！｣

｢ほら、行って下さい！メンバーの方が来てますよ｡｣

｢紅莉～！！｣

｢りん！彩香ごめんなさい！｣

｢本当だよ～あやかたち心配しちゃったんだらねっ｣

｢本当にごめん｣

｢じゃ！行こっ！！｣

和泉一織っていい人なんだ…