第７章 ページ8
翔サイド
正直言って、和が発作出たって聞いた時はすんげーびっくりした。だって発作なんて本当もう何年振りだろうってくらい起こってなかったし…
俺は外科医だから、和のことはずっと見ていられないけど、心配で心配で会議にも集中できなかった。すると、潤から電話がかかってきて、和と病室にいると言ってる。
潤：『和の発作、結構大きかったみたいで、体力も相当使ってて、今意識がない状態なんだよね。一応喘息は収まったし、前よりはだいぶ落ち着いてるみたいだけど…』
翔：「そっか。それじゃ、とりあえず良かった。今から行くから待ってて。」
潤：『うん。分かった。』
潤は安心したような声で言った。相当怖かったはずなのに、しっかりしてるよな、うちの末っ子は。俺は潤のことを色々と尊敬しながら言われた通りの病室に向かった。
病室のドアを開けると、そこには酸素マスクをつけて眠っている和と椅子に座ってじっと和のことを見つめている潤がいた。
潤：「っあ、翔にぃ。」
潤はくるっとこっちに振り向いた。その潤の目は真っ赤で、ほっぺには泣いたあとがあった。
翔：「潤…」
そりゃそうだよな、目の前で大切な兄弟が発作とか起こしたら、そりゃ怖いよな。辛いよな。俺はなぜか、潤なら大丈夫、と思い込んでしまっていた。
潤は立ち上がって、涙を拭いた。
潤：「ごめ、ヒック、翔にぃ。」
すると彼の大きな瞳からはもっと涙が込み上げてきて、恥ずかしそうに目を伏せた。俺は何も言わずに潤を抱きしめた。
翔：「ごめんな。怖かっただろ。もう大丈夫だから。一人にしてごめんな。」
潤は俺の腕の中で泣き崩れた。
潤：「俺が…俺がもっと早く気付けばよかったんだ。そしたら、ヒック、こんなことにはならなかったのにっ。ううっ、ヒック。」
俺は潤の頭を撫でながら彼の話を全て聞いた。
翔：「今日起こったことは絶対に潤のせいじゃないから。それに、俺たちだって同じ気持ちさ。あの朝、俺が和が体調悪いことに気がつけばよかった、って。みんなそう思ってるよ。」
潤：「でも、ヒック、俺は、ずーっと和と一緒だったのに全然分からなかった。気付いてやれなかった。」
ゆっくりと語る潤は、本当に後悔している気持ちでいっぱいだった。すごいショックだったんだろうな。しばらくたって一旦落ち着いた潤は、椅子にもう一度座り、和を優しい目で見守っていた。
作者：文字オーバーしちゃうので変なとこで区切っちゃいました(汗)
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
