第６章 ページ29
翔サイド
俺と智にぃは車から出ると、喋りながら家の中に入る。
和・潤『あ、翔にぃ、智にぃ、おかえりー。』
翔：「ハハッ！ハモってる。やっぱ双子だね〜(笑)」
潤：「別にいいじゃねーか、たまにハモってても。」
智：「んふふふ、翔は別によくないとは言ってないでしょ。」
和「はいはい、分かりましたよ。で、どうだった？楽しかった？二人っきりのデートは。」
翔：「いやー、思ってた以上に楽しかった。」
潤：「いや、デートだったのは否定しないのかよっ！」
俺ははへへっと笑うと、時計をみる。もう６時半か。
智：「あ、雅紀まだ帰ってきてないんだ。」
潤：「うーん。それがさ、１０分くらい前に終わってるはずなんだけど、まだ帰ってきてないんだよね。」
和：「また買い食いでもしてんじゃないの？(笑)」
みんなが大爆笑してる間、プルルルル、と俺の電話がなる。
病院から…？
俺は急いで出る。
翔：「はい、嵐山です。どうかされましたか？」
電話からは急いでいるような声が聞こえてきた。
山：「ああ、先生？山谷です。先生、弟さんいらっしゃいましたよね。」
雅紀のこと…だよね。
どうしたんだろう？まさか、何かあったのかな？
翔：「はい、そうですけど、何か起きたんですか？」
山谷さんは、ゆっくりと気の毒そうに言った。
山：「実は今さっき、高校生の男の子が運ばれてきて、嵐山雅紀と言う名前の。サッカーの最中、ゴールポストに激突したみたいで、いま頭から大量の出血が…とにかく、先生、すぐきてください。」
電話はツーツーツーと切れて、俺はその場から動くことができなかった。
智：「翔？どうしたの？」
みんな心配そうに俺を見上げる。
翔：「雅紀。」
俺はボソッと言う。
和：「雅にぃがどうかしたの？ねえ、翔にい？！」
珍しく焦りながら和が俺の袖を乱暴に引っ張る。
翔：「雅紀がゴールポストにぶつかって、いま頭から大出血してる。多分危険な状態だと思う。俺、行かねーと。」
俺はコートをきて、急いで車を出す。
智：「僕達も行く。」
智にぃはそう言うと、潤と和と一緒に車に乗り込んだ。俺は車をできるだけとばす。早く行かないと。
雅紀。
雅紀。
雅紀。
俺の頭の中は雅紀でいっぱいだった。
病院に着くと、みんな素早く車から飛び降りて、俺を力強い眼差しで見守っている。
潤：「翔にぃ、頑張って！」
潤の叫び声を後にして、俺は病院に駆け込んだ。
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
