第３章 ページ13
翔サイド
智にぃは半分も食べないで箸を置いて、ごちそうさま、と呟いた。やっぱりなんかおかしい。絶対体調悪いだろ、これ。
俺はシャワーの後歯磨きをしながら隣にいた潤に智にいの事を聞いて見る。
翔：「なあ、潤。今日智にぃ体調悪そうだったよな。」
潤は頷きながら、歯ブラシを置いた。
潤：「うん。俺も思った。全然食べてなかったし。熱でもあるのかな？」
熱か。智にぃが熱出すなんて珍しいけど、ありえるよな。俺は部屋に戻って、残ってる仕事を済ました。
ふと時計を見ると、もう１２時半だ。家はシンと静まり返って、部屋の電気は全て消えていた。
そういえば智にぃ大丈夫かな。ちょっとだけ見てこよう。俺はそう思って、部屋を出た。すると、急にドンッ、っと大きな音が聞こえた。智にぃの部屋からだ。すごく嫌な予感がした。
智：「ハアハア、ッ、ゴホっ、ハアハアハア。」
荒い息遣いも聞こえて、俺は智にぃの部屋に走っていった。ドアをバンっと開ける。
翔：「智にぃ？！」
そこには、床にうずくまっている赤い顔の智にぃがいた。ゴホゴホと辛そうな咳をしていて、汗でびしょびしょだった。
俺はしゃがんで智にぃのおでこに触れて見ると、とんでもない熱さが伝わってきた。
翔：「すげー熱…」
なんでこんな倒れるまで我慢するんだろう？なんで俺たちに相談してくれなかったんだろう？
智：「しょっ、っ、水、ハアハアッ。」
とろんとした目で見上げてくる智にぃはすごく苦しそうだった。水を飲もうとして倒れたのか。
翔：「水、欲しいの？」
智：「んっ。ハアハア。ゲホッ。」
俺はちょっと待ってて、と言うと急いで水を汲みにいった。
翔：「ゆっくり飲んで。」
智にぃはコクコクと水を飲んで、弱々しく目を閉じた。智にぃをベッドに戻し、俺は体温計を脇に挟む。ピピピピっとなって、俺の目に入った数字はとんでもなく高かった。
翔：「４１.２度。これやばいよ、智にぃ。前から分かってたんでしょ。熱あるって。なんで言ってくれなかったの？」
智にぃはうっすらと目を開ける。
智：「ごめ、ゲホッゲホッ。ハアハア、っ迷惑、ハアハア、ゴホッゲホッ、だか、ら。」
智にぃらしい…でも、やっぱり頼って欲しかったな。
翔：「わかったから。とりあえず病院行こう、ね？」
智にぃはコクンと素直に頷く。俺はそれぞれの部屋に回って、みんなを起こす。こんな夜遅く申し訳ないけど、無言でみんなを置いていくわけにはいかないし。
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
