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スーパーの入口で手ぇ離したらちょっと駄々こねられた。
明るいし嫌や，知り合いおるかもしらん言うたら
何や悲しそうな顔して独りで生鮮食品コーナーに
ガラガラカート転がしていって。
それを子供みたいに後ろから追っ掛ける。
子供はどっちやっちゅーねん。
おばちゃんに紛れて食材を厳選するイケメンは異色で，
売り場のおばちゃんにも声掛けてもろたり
秘密よ〜て半額シール貼られたりしとった。
何でや何でや，俺ん時そんなんしてくれへんかったやんか。
...それよりも何作ってくれるんやろ。
ここ最近まともに手料理なんて食べてへんから，
そういうタイプのあったかさとか忘れかけとる。
温めますかちゃうねん。
そのままチョコチョコ着いてくと，
カートはレトルト食品の棚の前で止まった。
カレー？カレー作ってくれんの？ひっさびさやわカレー。
「 ユウくん何辛？中辛？甘口？ 」
「 中辛で大丈夫...やと思う 」
「 ここのメーカーのカレーな，
辛口と中辛混ぜるとむっっっちゃ美味いねん。
けどユウくん，ルー置いてったところで自炊せんし 」
「 一人暮らしにカレー作らしても余らすだけやし 」
「 タッパ入れて冷凍してよ 」
「 抵抗ある 」
「 タダヨシ君の美味しいカレーやから大丈夫 」
「 クレアおばさんやん 」
「 シチューとカレー別物やん 」
後ろを通るお姉さん二人組に
『 同棲？同棲してんの？あのイケメン同棲中？ 』
とか噂されながらも，カートはどんどん埋まってく。
「 同棲やってぇ 」
「 何ちょっと嬉しそうにしとんねん 」
「 さっきっから何かユウくん辛辣やない？
まぁええか！荷物持ってな！片手空けたいから！ 」
「 ...片手空けたいってそういう事か 」
理解した頃には時既に遅し。
俺の左手には買い物袋，右手にはタダヨシ君の左手。
なくさんように繋いだるー言うたけど，
何やもう違和感無くなってもうた。
ほっかほかの眠い子供みたいなでっかい手を握り返すと，
まーた嬉しそうな顔で言う。
「 今度は絶対離さん 」
やから，
さっきはほんまに怖かったしあとは茶化しとノリって事で
こっちやって言ってやった。
「 離すわけあるか 」
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作者名：帆苅 | 作成日時：2017年7月27日 22時
