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⋆ 緑 ⋆
「 砂糖とかミルクとかんな洒落たモン無いんやけど 」
「 大丈夫〜！ブラック余裕やで 」
「 25歳は十分に大人やもんな 」
「 そ。大人やで，ちゃんと 」
ちょっとちょけてキメ顔してコーヒー啜って火傷した。
あちっ！とか言うてもうたのむっちゃ恥ずかしい。
ちゃんとフーフーしぃや〜とか言うてくるユウくん，
彼女でも彼氏でもなくほんまもんの兄ちゃんみたい。
こういう出会い方しとらんかったら，
どんな関係やったんかな。
とか。考えちゃうけど。
ふとユウくんが時計に目をやった。
もう夜ごはんもええとこ。
台所借りよ思ってた事すら忘れよる。
まだ来てからそない時間も経ってへんし，
今日はこの枠が最後やから
ユウくんが希望してくれれば延長だって出来る。
絶好の胃袋掴むチャンス。
「 ねぇ 」
「 ん？ 」
「 今日まだ夜ごはん食べてへんのやけど。
ユウくんの夜ごはん兼ねてさ，台所借りてもええかな？ 」
別途料金？至れり尽くせりすぎひん？
とか言うユウくんに勿論そんなものかからない事を伝えて，
せっかくやし一緒に買い物に行く事を提案する。
食材の代金は提案した側が全部持つ。つまり俺。
安い出費やでそんなん。
多分ユウくん自炊せぇへんやろ？言うたら
テンプレみたく驚くから，
またキメ顔で彼氏やからね！って返したった。
「 でもタダヨシ君のごはんめっちゃ食べたい 」
「 やーもうほんま，すぐ作ったるから！ 」
「 やから食材無いんやて 」
「 ごめんごめん，忘れとった 」
「 自分で言い出して忘れるなや 」
雰囲気ええし車でも出してもらお思ったら，
免許証よう失くすから使わんようにしてんって。
若いのに大丈夫なんそれ。
「 スーパー近いから歩いてこ，ごめんな 」
「 ええやん，車より歩いた方が道のり長いしさ 」
「 長さは変わらんけどな 」
「 揚げ足取らんで感じ取ってや 」
鍵かけんのも忘れそうになるん，ほんまに危ない。
あかん。この人俺がおらなあかん。
年上のはずやのにむっちゃ心配。
ユウくんのリピーターになりそうなんやけど，
どっちがレンタルしとるんこれ。
「 手ぇ繋がん？ 」
「 何言うとんねん 」
「 免許証みたいにユウくんなくすん嫌やから！ 」
「 免許証なくすの俺やろ 」
「 じゃあ僕なくさんように繋いでや 」
「 上手いこと言うなぁほんま。敵わんわ 」
って，結局繋いでくれんへんかったけど。
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作者名：帆苅 | 作成日時：2017年7月27日 22時
