終 ページ21
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「 30分前にやっと告知って遅ない？ 」
「 やって楽しそうなところに水差せへんやろ普通 」
「 それは...まぁ 」
ド正論。
そらワイワイ酒飲んでるところに
『 あと一時間でお別れやで 』
とか言われたらさすがにキレるわ。それか泣く。
でも『 楽しそう 』って言葉にはちょっと引っ掛かった。
まどろっこしい上司の言葉の裏をかかなあかん身としては，
めちゃくちゃ客観視されてるやんとか
あっちは特段楽しくなかったんちゃうかとか
距離縮められた思っとんの俺だけちゃうとか
思ってもうて。
考えてみればそれはごく当たり前の事のはずやのに。
あっちはこれで稼いでんねんもん。
ビジネスやもん。
開き直ったらそれも悲しくなってきたけど。
「 最後にちょっと暗い顔すなやシンキくさい 」
「 最後とか言うんやめてや 」
「 寂しいん？じゃまた呼んでや 」
「 商売上手やなほんま 」
それほどでも〜とか言うて笑うスバル。
幾らでも払ったるわそんなん。
幸い彼女なんて華々しいモンもおらんし，
逆に彼氏なんていたことすらないし
趣味に注ぎ込めるお金はあっても時間は無いから
どんどん貯まる一方やし。
つまりスバルに注ぎ込むお金なんて山ほどある。
時間なんてもう...無理くり割くわ。
「 まぁまた飲もうや 」
「 また半日潰したる 」
「 次はプライベートで呼んでな 」
「 んな事できんの？ 」
「 バレたら首スパーン飛ぶけどな 」
「 じゃあやめとこうや 」
ビジネスでもずっと会えた方がええから。
なんて，そんな真に受けたような事言うんはダサいかな思て
お前が職失わんようにな〜って誤魔化す。
玄関に座り込みそうなスバルに
水飲めとかなんとか言ってとりあえず家に上げると，
あ"ーーーて今にも吐きそ...吐きます！みたいな声出すから
ちょっと慌てた。
「 おっちゃんそこ座っといて。俺 水持ってくから 」
「 今ソファ座ったら寝そう，おやすみ 」
「 それは困るわ，もうスバルん営業時間終わりやろ 」
苦笑いしながら急いで水を注いで差し出す。
シジミのサプリとか滅多に飲み行かんから持ってない。
コップを受け取ったスバルはすぐにそれをテーブルに置いて
俺をちょちょっと引き寄せた。
「 ちゃうやん？ 」
「 え 何が？ 」
「 今ソファ座ったら寝そう って座らせろってことやで 」
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作者名：帆苅 | 作成日時：2017年7月27日 22時
