15 ページ15
けれど自己防衛以外で意図的に人にそういったことを、少し叩くとかでもすることには酷く抵抗があった
「痛く、するのは…他の人、とかに…」
お願いしてほしい
この世界にそういった自分の趣味にあったお店なんてものが存在するのかも知らないけれど…
私には荷が重いというか…精神的負荷が大きすぎて
そう思って伝えたのだが
それに間髪入れず帰ってきた声は、
ゾム
「は？なんで？」
酷く冷たいものだった
あり得ないと言いたげな表情が見えて…
抱かれたままの足に、ギリッと爪の突き立てられる
ゾム
「俺はアヤに傷つけて欲しいんやって、言ったやんな？
なんで他の奴じゃなきゃいかんの？
なんで大好きな人から他の奴に頼めって言われなあかんのや
俺はアヤが、アヤじゃなきゃあかんのに…」
「…痛ｯ、痛いッ…！
ごめんなさっ…ごめんなさいっ…！」
咄嗟に口をついて出た謝罪は、ギリギリと爪が突き刺さる足の痛みのせいだったが…
彼の冷たい目が和らいで、突き立てられた爪は離してくれた
…足には抱きついたままだが
「ごめん、なさい…」
ゾム
「…んや、難しいもんな…
けど覚えといてな
俺はアヤにメチャクチャに壊されたいんや
誰でもない、アヤに」
優しく、それでいて恍惚に歪む
その表情に混ざる、甘く蕩けた感情と恐ろしさは背筋を震わせる
ゾム
「その辺の奴らに傷つけられても腹立つだけやねん
道行く人間にいきなり殴られたら腹立つやん
ただ俺は好きな人に、愛してるアヤに殺されたいだけなんや」
壊されたい、の表現ですら大分渋かった味が
殺されたい、と言われた途端に吐き気がするほどの苦味で溢れ返ったような気がした
甘すぎて苦く感じたんじゃないだろうかと思うぐらい、彼はドロリと瞳を揺らして甘えるように頬を膝に置いた
どうしようもできなくて…
ただ何もしないんじゃ何の琴線に触れるかもわからず、逆の頬をそっと摘んで痛いかな？と思う程度に引っ張ってみれば
まるで子供に優し今を向ける母のように優しさに当てられて一気に羞恥心が湧き上がった
どうしろというのだろう…
離れる気配のない彼にペシリとデコピンをしてみれば、幸せそうに笑うからこれで一応は…
いいの、かも…………しれない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もろこし(プロフ) - コメント失礼致します。世界観、物語の展開とても好みで更新楽しみにしております。応援しております。 (2022年11月20日 1時) (
レス) @page26 id: 63f7f0517d (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ*(プロフ) - 新作おめでとうございます！主様の文才と設定、そして世界観にいつも感激しております…更新されるたびに大喜びで読ませていただいております。主様のペースで更新頑張ってください！ (2022年11月14日 2時) (レス) @page24 id: 789bc89d04 (このIDを非表示/違反報告)
詩紀(プロフ) - 面白いです！！！これからも応援します！！！ (2022年11月13日 14時) (レス) @page24 id: 6da3ecdec3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
