21.「それでいい」と微笑んで ページ28
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…俺も、最初に聞いてみようと思った。
『俺の刀になってくれませんか』って。
でも、拒否されるのが怖くて聞けなくなってしまった。
思い出してしまったのだ。嫌いと言われたときの悲しさを、拒絶された時の息苦しさを、侮蔑と憎悪が入り交じった瞳を見たときの絶望を。
そして、喉まで出かかっていたその言葉を、無理やり飲み込んだ。
そんな、俺が怖かった言葉を…拒否されるのが怖くとも言ってきた彼が、俺には眩しく思えたんだ。
だから、駄目だ。
そちらからお願いされるのを受け取るだけじゃ駄目なんだ。
俺が最初に言いたかった。その言葉を受けとるだけじゃ、俺はここで妥協してしまう。
だからこそ、俺は言わなきゃならない。
勇気を出せばいい。
あと一歩踏み出せばいい。
…目の前の酷く苦しそうな顔を見て、過去の自分を重ねてしまう。
…俺は、あの時の自分に何と言うのだろうか？
…ああ、考えるのも野暮だったか。だって、目の前に居るのは、俺ではないのだから。
そして、彼の両手を握り、美しく透き通った紫の瞳を真っ直ぐに見つめて、自分の思いを話した。
「…俺は、出来るならばやり直したい！
薬研さんが本丸の日常を望んだように、俺も望んだものがある！
そのためにも、俺はこの本丸でやり直したい！
お願いします、薬研藤四郎さん…俺の、刀になってください！」
そう言うと、彼はぼろぼろと大粒の涙を美しい瞳から流した。白磁の肌に、透明な水の跡が残っている。
そうして、勢いよくごしごしと涙を拭い、弾けるような笑顔をこちらに向ける。
「っ！ああ、ああ！勿論だ！俺は、あんたの、"大将の"刀になる！」
そう返されて、俺も釣られて涙がほろほろ溢れてくる。
でもそれは、決して悲しいものではない。嬉しさに溢れた涙だ。
そして、溢れた涙を軽く拭いて、彼に向けて言葉を紡ぐ。
そして自分にできる最大限の笑顔わ見せるのだ。
「っ…っは、はい！これからよろしくお願いしますっ…！」
そう言うと、嬉しそうに微笑んだ。
だが、その次に少し悲しそうに『何か違う』と言いたげな顔をして、呟いた。
「…敬語」
「へあっ！？」
「敬語、もう抜いてくれよ。俺は大将の刀だ。気を使う必要なんて無いぜ！」
そうかもしれない。
もう、彼は俺の刀で、俺は彼の主なんだ。敬語なんて畏まったものは必要ではない。
「う、うん！わかったよ、薬研！」
「っ〜！おうっ！あんたの刀、薬研藤四郎だ！これから、よろしく頼むぜ！」
22.苦く優しい気遣いの味→←追憶.『さようなら。そして、』
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たけち - 続きが気になります＼(^o^)／ (2020年3月1日 1時) (携帯から) (
レス) id: 06009c9279 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 更新楽しみにしていました！やっぱり凄く読んでいて面白いし楽しさがあったり、悲しみもありますが、内容がとても良いと思います！続き待ってます(*≧∀≦*) (2019年12月16日 2時) (レス) id: 83c5ab45b3 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 続き楽しみにしてます！ (2019年8月30日 3時) (レス) id: 450f830fbf (このIDを非表示/違反報告)
神右宮月左京(プロフ) - ポメ蔵ｯｯ!!!!!!!!ダメでした。ずっと発狂と涙腺が崩壊してました。続き全裸待機してます。泣きました← (2019年5月28日 13時) (レス) id: 3ebae4acb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ(プロフ) - 刀剣乱舞もFGOも好きなので、クロスオーバーしていて嬉しいです！続きを楽しみにしてます。頑張ってくださいq(^-^q)(p^-^)p (2018年11月26日 1時) (レス) id: bf43542093 (このIDを非表示/違反報告)
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